(民主党)「選挙までは反米、選挙後は親米」の誤魔化しは許されない | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(民主党)「選挙までは反米、選挙後は親米」の誤魔化しは許されない


産経新聞「主張」に書いている「日本の船舶にとって重要な海上交通路の安全確保に欠かせない法律であり、国益の実現が遅れたのは残念だ。民主党の無責任な対応を見ていると、果たして政権担当能力があるのか、改めて疑問に思えてしまう」は、正論である。

「海賊対処法案」に、参院で、民主党が、他の野党と共闘して否決したからである。

にもかかわらず、同じく、主張に書いているように、民主党の鳩山代表は、政権獲得後に、海賊対処活動を継続するかどうか、記者団に聞かれた際、「『すぐ引き返せ』と、短絡的に判断しない」と述べている。矛盾している。海賊対処法に反対なのだから、政権獲得後に「すぐ引き返せ」が筋である。何故、「すぐ引き返せ」と言いきれないのか。ならば、法案に賛成すべきであろう。

民主党は、「選挙までは反米、選挙後は親米」で誤魔化せると思っているのか。

産経新聞6月16日の「危うい友愛外交」①に「反米3点セットを警告」が書かれている。①海上自衛隊のインド洋給油支援活動の即時停止②日米地位協定の見直し③沖縄海兵隊グアム移転と普天間飛行場移設を柱とする在日米軍再編計画の白紙撤回の、反米3点セットがでている。

この3点セットについて、昨年12月19日の鳩山幹事長(当時)を中心とした民主党幹部に対して、ジョセフ・ナイ元国防次官補は「民主党が掲げる政策を一度にぶつけたら、米議会や政府は反米と見なすかもしれない。皆さんは注意された方がいい」との警告をしている。

これに対して民主党幹部は「民主党政権になっても日本の外交安保政策の基軸は日米関係だ」と説明したという。こんな「選挙までは反米、選挙後は親米」という話が、ナイ氏をはじめ米国サイドが納得できないのは当たり前だ。

反米3点セットを政権公約にしながら、日米同盟基軸を主張する。このようにして、反米の革新票と親米の保守票をとろうとしているのかもしれない。このことは党首討論でもしっかりと議論していただきたい。鳩山氏は友愛外交を掲げているが、その基軸は日米同盟なのか、それとも反米なのか、是非、民意に対して明らかにしていただきたい。(6月21日記)

(参照記事)産経「主張」「海賊対処法成立」「実効高める一般法を作れ」

「保護する対象を日本関連船舶から外国船舶にも広げる『海賊対処法』が、衆院による再議決を経て19日に成立した。停戦命令に応じない海賊船への海外射撃も初めて認められ、これまで正当防衛や緊急避難に限られていた武器使用を緩和している。十分とはいえないが、前進だ。アフリカ・ソマリア沖で行われてきた海自艦船の活動を、いっそう実効的なものにし、国際社会の共同行動にさらに貢献できることを評価したい。

とはいえ、参院では民主党が他の野党とともに法案を否決したため、再議決が必要となった。しかも、衆院通過から2カ月近くが経過している。日本の船舶にとって重要な海上交通路の安全確保に欠かせない法律であり、国益の実現が遅れたのは残念だ。民主党の無責任な対応を見ていると、はたして政権担当能力があるのか、改めて疑問に思えてしまう。

新法の成立に先立ち、民主党の鳩山由紀夫代表は、政権獲得後に海賊対処活動を継続するかどうかを聞かれ、『<すぐ引き返せ>と、短絡的に判断しない』と語ったが、どういうことだろう。すぐに引き返させないのは、活動の意義や必要性を認めているからではないのか。

そもそも海賊対処問題は、同党の長島昭久衆院議員が昨年10月、麻生太郎首相に対する質疑でその必要性を指摘し、首相も同意した経緯がある。民主党は与党との間で、現実的な修正合意を目指してほしかった。政府は新法に基づき、武器を使用して海賊を抑止する場面に備えて、機関銃や狙撃銃の訓練を受けた部隊を派遣し、7月中旬に活動中の第1陣と入れ替える考えだ。派遣される部員たちには、任務をまっとうし、無事に帰国の日を迎えてほしい。

ソマリア沖アデン湾では、15日現在で海賊による襲撃事件が142件も発生し、すでに昨年1年間の111件を上回っている。対処活動の必要性は、いっそう増しているのだ。現地の司令塔は『海賊の襲撃活動が活発化、巧妙化している』と指摘する。今回の新法でも、逃走する海賊への実力対処はできないとされる。海自の能力を最大限発揮させる環境を整えるべきだ。そのためには自衛隊を海外に派遣する一般法づくりが必要である」。