(党首討論)集団的自衛権行使に関する憲法解釈についての議論を | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(党首討論)集団的自衛権行使に関する憲法解釈についての議論を

今回の北朝鮮の核実験の狙いは、産経に載っている小此木政夫・慶大教授のコメントである「体制生き残り本格的瀬戸際政策」にあると思われる。

「金総書記の健康問題や後継者問題を抱え、2012年に強盛大国の入り口に立つという目標も近づいている。米国との交渉は体制の生き残りが目的だったのに、残された時間はなくなりつつある。それが北朝鮮に大きな冒険をさせている。今回の核実験は、かなり本格的な瀬戸際政策だ」

具体的には、米朝国交正常化を2012年までに実現させるために、米国本土に届く1万2000キロの核搭載の大陸間弾頭ミサイル保有が最優先の先軍政治に狂奔している結果としての国連安保決議否定の核実験なのである。

問題は、北朝鮮は、既に、日本全土を射程内においた中距離弾道ミサイル「ノドン」を保有しており、それにも搭載する小型の核弾道の実験が、今回の核実験の要諦であるということである。北朝鮮の核ミサイルの脅威が、現実のものとなってきたのである。米国の核の傘の再確認、米国の核抑止力の有効性の有無が、日本国民の生命と財産を守る喫緊の課題となったのである。

よって、社説の結語にある「核を持たない日本にとって、米軍の核抑止力こそが北朝鮮に核使用を思いとどまらせる唯一の対抗手段だ。いわゆる「核の傘」が確実に機能するよう日米同盟関係の信頼性を確保する必要がある。ミサイル防衛(MD)システムの一層の充実も欠かせない。迎撃ミサイルの着実な配備はもちろん、米国との情報共有や、相互運用性の向上など、システムの実効性を高めることが重要だ」は、正論である。

具体的には、集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈の改定を決断すべきときがきたということである。米国の「核の傘」を破れ傘にしてはいけない。

従来のように、憲法を守って集団的自衛権行使を封印し、日本国民の生命と財産を失うのか、それとも、憲法解釈の改定をなして、集団的自衛権行使を可能にし、日米同盟基軸を強化し、核の傘を補強して、日本国民の生命と財産を守るのか。

米国の「核の傘」を破れ傘にしてはいけない。

明日の党首討論では、ぜひ、この骨太の議論をしていただきたい。(5月26日記)


(参照記事)読売新聞社説「北朝鮮核実験」「度重なる暴挙に厳格対処せよ」

「北朝鮮が2度目の核実験を強行した。先月5日には、国際社会の警告に逆らって、弾道ミサイルを発射したばかりだ。核兵器の小型化に通じる核実験の実施は、核ミサイルの早期獲得に執念を燃やす北朝鮮の姿勢を鮮明にした。3年前の最初の核実験強行によって、世界はすでに「危険な新たな核の時代」に入った。北朝鮮の度重なる挑発行動により、北東アジア地域の安定は一層損なわれ、緊張は一段と激化している。

とくに、北朝鮮が配備ずみのノドン・ミサイルの射程内にある日本にとって、事態は深刻さを増した。政府が直ちに国連安全保障理事会の招集を求めたのは当然だ。北朝鮮の暴挙には、激しく対処していかなければならない。今回の核実験は、最初の核実験後に安保理が全会一致で採決した決議1718への明白な違反だ。

北朝鮮は『核実験や弾道ミサイル発射の中止』を求めた決議を、相次いで蹂躙したことになる。北朝鮮は先月、安保理が弾道ミサイル発射を非難する議長声明を採択した直後、『不当千万』と逆に安保理を批判した。みずからの違反を棚に上げた詭弁である。さらに、安保理が北朝鮮企業3社を制裁対象にすると、『謝罪と制裁の撤回』を求め、応じなければ『核実験と大陸間弾道ミサイル発射実験』を行うと宣言した。

その延長線上に、今回の核実験がある。核実験後、短距離ミサイルも3発発射した。安保理が協議入りすれば、長距離弾道ミサイルも発射する、とでも脅したつもりなのだろうか。北朝鮮が野放図に進める核ミサイル開発をどう阻止するのか。国際社会は、冷静に判断し、緊密に連携して対処する必要がある。

安保理の選択肢には、制裁を強化する決議の採択がある。3年前の決議1718は、その後、北朝鮮が6カ国協議に復帰したことで制裁が徹底されなかった。先の弾道ミサイル発射でごく1部の制裁が実施されたが、現状のままでよいというわけにはいくまい。日本は3年前、やはり安保理の一員として米英仏とともに制裁決議の採択を主導したように、今回も先頭に立って、安保理で制裁強化決議の採択を目指すべきだ。麻生首相は韓国の李明博大統領と電話で、日米韓の連携を確認、安保理で「厳しい対応」を取るべきだとの認識でも一致した。

日本政府は独自の追加制裁も検討することにしている。ただ、それだけでは、北朝鮮は痛痒を感じまい。国際的な包囲網の実効をあげることが肝要だ。現状では、北朝鮮が経済的に依存する中国の役割が、北朝鮮に核放棄への圧力をかけるうえできわめて重い。首相は、慎重な態度を示すと予想される中国、ロシアに積極的に働きかけるべきだ。6カ国協議は、交渉を通じて、北朝鮮の核放棄の実現を目指そうという枠組みだが、2度目の核実験強行により、事実上、その存在意義は失われた。

北朝鮮が、6カ国協議つぶしを狙っていたのは明らかだ。事実、先月には、安保理非難とあわせ、6カ国協議に『2度と絶対に参加しない』と言明した。核放棄ではなく、核兵器保有の既成事実化が北朝鮮の本音だ。だが、日米韓中露の5カ国にとって、北朝鮮の非核化という共通の目的が失われたわけではない。核保有の既成事実化を決して許さず、実効性ある措置を取ることが5カ国の喫緊の課題だ。

北朝鮮が直接対話を望むオバマ米政権の責任は極めて大きい。核を持つ北朝鮮との正常化はあり得ないことを肝に銘じさせ、核廃棄へ向かわせるよう、毅然とした態度を貫いてもらいたい。北朝鮮は、使用済み核燃料棒の再処理を開始した、として核兵器用プルトニウムの増産を示唆している。拘束した米人ジャーナリスト2人の裁判開始を予告し、韓国とも開城工業団地の契約無効宣言で緊張を高めている。

一連の“超強硬”姿勢は、昨年以来、健康不安が続く金正日総書記の後継体制作りと深く関係している可能性もある。こうした中で進められる核ミサイル開発の危険性に注意しなければならない。

核を持たない日本にとって、米軍の核抑止力こそが北朝鮮に核使用を思いとどまらせる唯一の対抗手段だ。いわゆる『核の傘』が確実に機能するよう日米同盟関係の信頼性を確保する必要がある。ミサイル防衛(MD)システムの一層の充実も欠かせない。迎撃ミサイルの着実な配備はもちろん、米国との情報共有や、相互運用性の向上など、システムの実効性を高めることが重要だ」。