(民主党代表交代)どちらが捨て身の党なのか | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(民主党代表交代)どちらが捨て身の党なのか

朝日新聞社説の結語に書いている「次の総選挙を、真の意味で国民による政権選択の選挙にすること。それが政治、とりわけ2大政党の自民、民主両党に課せられた責任だ。深刻な不況をはじめ、少子高齢化、人口減少などさまざまな面で、日本は大転換期にある。そんな中で迎える総選挙だ。両党とも指導者の魅力と政策の説得力を競わねばならない。どちらが先に態勢を整えられるか。残された時間は少ない」は、正論である。

民主党の新代表には、「小沢時代の民主党は『政策より政局』『何はともあれ政権に』の権力志向があまりにも前面に出ていなかったか。内政、外交の両面で、政策を練り直す作業を急がねばなるまい」との指摘を真摯に受け止めていただきたい。

誰がポスト小沢の新代表になろうと、真剣な政策論争をしようではないか。

どちらが自己保身の党で、どちらが捨て身の党なのか。

どちらが官僚政治を打破することができる党なのか。

2005年は小泉首相の捨て身の姿勢が民意に評価された。

2009年も、捨て身の覚悟が問われることになる。(5月12日記)



(参照記事)朝日新聞社説「小沢代表辞任」「政権選択に向け再起動を」

「民主党の小沢代表がようやく辞意を表明した。妥当な判断だ。もっと早く踏み切っていれば、民主党が被った損失は小さくて済んだろう。西松建設の違法献金事件で公設第1秘書が逮捕されてから2カ月余。代表の職にとどまった小沢氏に対する世論の逆風は強まる一方だった。それが、超低空飛行だった麻生内閣の支持率を上向かせることにもなった。

このままでは、秋までに必ずある総選挙での勝利、つまり年来の目標である政権交代の実現が遠のく。そんな危機感からの決断なのだろう。昨夕、記者会見した小沢氏は『政権交代の実現に向け、あえてこの身をなげうち、職を辞する』『身を捨て、必ず勝利する』などと述べた。

もう1つ、これまで小沢氏批判が大きな声にならなかった党内に、辞任を促す動きが表面化してきたことも、決断を後押ししたに違いない。秘書の逮捕以来、小沢氏は全面的に検察と争う姿勢をあらわにしてきた。昨夕の記者会見でも『一点もやましいことはない』と強調した。辞任すれば検察への屈服ととられかねない。そうした思いが、小沢氏の身を固くさせていた面もあろう。

検察はまだ捜査終結を宣言してはいないが、焦点は近く開かれる事件の初公判に向きはじめている。小沢氏とすれば、公設秘書の逮捕という強制捜査の手法や、献金の違法性などについて、今後は裁判の場で争っていくということなのだろう。

民主党はただちに新代表選びの作業にとりかかるが、党勢の回復は容易なことではない。この事件が表面化する前、民主党の勢いには政権交代前夜のおもむきさえあった。それが一気に失速しただけではない。この2カ月というもの、国会に提出された多くの法案や予算案について、すっきりとした対応が定まらず、総選挙向けのマニフェストづくりの作業はほぼストップしていた。

小沢氏がなぜゼネコンから長年にわたって巨額の献金を受けていたのか。公共事業をめぐる政官業の癒着を厳しく指弾し、『国のかたち』を抜本的に変えると主張してきた民主党なのに、その基本姿勢と矛盾するのではないのか。そうした世間の批判に、小沢氏本人だけでなく、民主党もほおかむりしてきた。

この不信感の集積を、ぬぐわねばならないのだ。新代表になればまた自動的に支持が取り戻せると思っているのなら、大きな間違いだ。代表選挙は、複数の候補者が政見を競い合う形にすべきだろう。国会審議への影響は最小限にしなければならないが、民主党が目指す政策や理念についての論争を党外に積極的にさらし、有権者にもその是非を考えてもらえる工夫をする必要がある。そして、何かといえば『小沢氏頼み』になりがちだった党の体質を、新代表のもとで刷新することだ。

偽メール騒動で混迷した党の苦境を引き受け、小沢氏が代表に選ばれたのは3年前。その真骨頂は07年の参院選での与野党逆転だった。自民党の手の内を知り尽くし、選挙戦術にたけた老練さ。抜群の知名度。民主党内にも有権者の側にも、かつて自民党の中枢にいた小沢氏の過去や体質への懸念がなかったわけではない。それでも、どこかひ弱な民主党にとって、その腕力は政権につくのに欠かせない『劇薬』と受け止められた。

副作用もあった。小沢代表になってから、社会保障財源のための消費税引き上げ、公共事業受注企業からの献金禁止といった民主党独自の政策が、いつの間にか政権公約から姿を消した。高速道路の無料化や子ども手当などの政策には『財源の裏付けがない』という与党などの批判が浴びせられた。外交面でも、例えば『第7艦隊で米国の極東におけるプレゼンスは十分』などといった、小沢氏の迷走発言が続いた。

小沢氏がトップダウンで進めようとした自民党との大連立構想こそ頓挫したものの、小沢時代の民主党は『政策より政局』『何はともあれ政権に』の権力志向があまりにも前面に出ていなかったか。内政、外交の両面で、政策を練り直す作業を急がねばなるまい。民主党が態勢を立て直すことになれば、今度は麻生政権が改めて問われることになるだろう。

一時は10%台前半に落ち込んだ内閣支持率こそ上向きだしたものの、世論調査では相変わらず6割の人が麻生内閣を『支持しない』と答えている。軽く見ていい数字ではない。麻生首相で本当に選挙に勝てるのか、そんな不安の声が再び自民党内で大きくなる場面もあるかもしれない。

次の総選挙を、真の意味で国民による政権選択の選挙にすること。それが政治、とりわけ2大政党の自民、民主両党に課せられた責任だ。深刻な不況をはじめ、少子高齢化、人口減少などさまざまな面で、日本は大転換期にある。そんな中で迎える総選挙だ。両党とも指導者の魅力と政策の説得力を競わねばならない。どちらが先に態勢を整えられるか。残された時間は少ない」