(憲法改正)憲法改正支持派は過半数を超えている | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(憲法改正)憲法改正支持派は過半数を超えている


朝日の4月18,19日実施の憲法改正に関する世論調査の結果が発表された。改正する必要があるが、前回(08年4月19,20日)に比べて、3ポイント減の53%、改正する必要はないが2ポイント増の33%、わからないが1ポイント増の14%。07年の同調査では改正必要58%、必要ない27%あったから、07年と比べれば、それぞれ5ポイント減、6ポイント増となっている。

注視すべきは、減じてはいるが、改正必要が53%と民意の過半数を超えており、改正必要ない33%を20ポイントも、上回っていることである。その理由として「新しい権利や制度を盛り込むべきだから」が74%と8割を占めている。現憲法の施行から明日で62年を迎えるが、憲法改正は時代の要請と受け止めるべきである。

にもかかわらず、憲法改正の手続きとしての国民投票法の施行が来年の2010年5月18日となっているのに、未だに、憲法改正原案を国会で審議する場としての憲法審査会が、規程が制定されず、発足出来ていない。民主党を中心とする野党が反対しているからである。

問題はその反対理由である。共産党、社民党両党は「憲法改正を国民は求めていない」、民主党は「規程がないのは遺憾だが、合意がないまま進めるべきでない」としている。民意の53%が憲法改正を必要としているのだから、共産党、社民両党の「憲法改正を国民は求めていない」は虚言であり、民主党の「規程がないのは遺憾だが、合意ないまま進めるべき」は、民意より野党共闘を優先した党利党略となる。

民主党が政権交代を目指すならば、憲法改正を必要とする民意の53%を無視しての実現はありえないことを正しく知るべきである。時代の要請に逆行しているからである。民意は100年に一度の経済危機に直面し、戦後システムの大転換、国のかたち、仕組みを変えるべきときと認識し、そのためには、国の最高規範である現行憲法を改正すべきとしているのである。(5月2日記)

(参照記事)朝日新聞「9条改正、反対64%」「本社世論調査『改憲必要』は53%」

「3日の憲法記念日を前に、朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)によると、憲法9条を『変えない方がよい』が64%に達し、『変える方がよい』は26%にとどまった。憲法改正が『必要』とする人は53%いるが、その中で9条を『変える方がよい』とする人は42%、『変えない方がよい』が49%だった。調査は4月18、19日に実施した。

9条に対する意見は、安倍内閣時代の07年4月に『変えない方がよい』49%、『変える方がよい』33%だったのが、福田内閣のもとでの昨年4月調査では66%対23%と差が大きく広がった。今回も昨年から大きな変化はなかった。

9条を『変える方がよい』と答えた人(全体の26%)に、どのように変えるのがよいかを2つの選択肢で聞くと、『いまある自衛隊の存在を書き込むのにとどめる』が50%、『自衛隊をほかの国のような軍隊と定める』が44%と意見が分かれた。憲法全体について聞いた質問では、『改正必要』が53%で、『必要ない』33%を上回った。07年は58%対27%、昨年は56%対31%だった」。

「憲法全体をみて、いまの憲法を改正する必要があると思いますか。必要はないと思いますか。(*( )は08年4月19,20日調査の結果、< >は全体に対する比率)

改正する必要がある 53(56)
改正する必要はない 33(31)

(「改正する必要がある」と答えた53%の人に)それはどうしてですか。
自分たちの手で新しい憲法を作りたいから 9<5>
第9条に問題があるから 15<8>
新しい権利や制度を盛り込むべきだから 74<39>

(「改正する必要はない」と答えた33%の人に)それはどうしてですか。
国民に定着し、改正するほどの問題点はないから 36<12>
第9条が変えられる恐れがあるから 44<15>
自由と権利の保障に役立っているから 14<5>

憲法は9条で「戦争を放棄し、戦力を持たない」と定めています。あなたは、憲法9条を変える方がよいと思いますか。変えない方がよいと思いますか。
変える方がよい 26(23)
変えない方がよい 64(66)

(「変える方がよい」と答えた26%の人に)では、憲法9条をどのように変えるのがよいと思いますか。
いまある自衛隊の存在を書き込むのにとどめる 50<13>
自衛隊をほかの国のような軍隊と定める 44<11>

これからの自衛隊の海外活動についてうかがいます。自衛隊の活動はどこまで認められるかについて、あなたの考えは、次の中ではどれに一番近いですか。
海外での活動は一切認めない 9(15)
武力行使をしなければ、海外での活動を認める 56(64)
必要なら武力行使も認める 32(17)

憲法では、国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利があるとされています。これは、どの程度実現されていると思いますか。
ほぼ実現されている 6
ある程度実現されている 45
あまり実現されていない 41
ほとんど実現されていない 6」

「朝日新聞社の全国世論調査では、憲法改正が必要だとする意見が過半数を占めたが、理由としては『新しい権利や制度を盛り込むべきだから』が74%と圧倒的に多い。9条については維持すべきだという世論の根強さが浮かび上がった。

改憲が必要とする人(全体の53%)に理由を聞くと、『9条に問題があるから』は15%、『自分たちの手で新しい憲法を作りたいから』は9%だった。一方、改憲が『必要ない』と答えた人(全体の33%)の中では、理由として『9条が変えられる恐れがあるから』を挙げた人が44%と一番多かった。次いで『国民に定着し、改正するほどの問題点はないから』が36%、『自由と権利の保障に役立っているから』が14%だった。

9条に対する意見を自民支持層についてみると、安倍内閣時代の07年4月調査では『変えない方がよい』41%、『変える方がよい』43%と相半ばしていた。福田内閣時代の昨年4月調査で57%対30%と『変えない方がよい』が多数を占め、今回も53%対33%と同様だった。

改憲に消極的とみられた福田前首相との対比でいえば、麻生首相の憲法観は、9条を含む改憲をめざす姿勢を前面に打ち出した安倍元首相に近いとされるが、改憲熱を復活させるには至っていない。9条について民主支持層では『変えない方がよい』66%に対し、『変える方がよい』29%。無党派層では68%対21%だった。

自衛隊の海外活動を認めるかどうかでは、『武力行使をしなければ認める』が最も多く56%。次いで『必要なら武力行使も認める』が32%、『一切認めない』は9%だった。昨年はそれぞれ64%、17%、15%。『必要なら武力行使も認めるが』がこの1年で大きく増えているのが特徴だ。

政策研究大学院大の岩間陽子教授(国際政治)は『北朝鮮のミサイル問題に加え、ソマリア沖の海賊対策の影響もあるのだろう』とみている。同時に実施した世論調査では、海賊対策で海上自衛隊の武器使用の範囲を広げることに賛成が50%で、反対の36%を上回っている。

私的集団である海賊が相手の『武器使用』は、国や国に準じる組織に対する『武力行使』とは日本の法律上は区別される。岩間教授は『国民は、国連の平和維持活動など、国家間の戦争以外の場面で軍事力を使う必要性が増大しているのを理解し始めており、調査結果はその反映なのかもしれない。自衛隊の海外活動での武器使用をめぐる法整備は、海賊対策にとどまらず、憲法に規定されている武力行使とは区別して、きちんと議論する必要がある』と話している。

憲法は25条で『国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』と定めている。この権利(生存権)は、いまの社会でどの程度実現されているかを聞いた。『ほぼ実現』『ある程度実現』は合わせて51%、『あまり実現されていない』『ほとんど実現されていない』は合わせて47%と、肯定派、否定派がほぼ半々だった。

97年に面接方式で同じ質問をしたときは、肯定派が65%、否定派が32%だった。調査方法が異なるので単純には比較できないが、非正規雇用をめぐる貧困問題などが最近、注目を集めるようになり、今回の結果につながっているようだ」