(世襲制限)「コンクリートの天井」を破る資格を有するのは、自らの特権身分を放棄するもののみ | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(世襲制限)「コンクリートの天井」を破る資格を有するのは、自らの特権身分を放棄するもののみ


日本を覆っている閉塞感を打ち破るためには、日本を覆う「コンクリートの天井」を打ち破らなければならない。

そのためにこそ、「自民党はそこまでやるのか」ということをしなければならない。

世襲というのは、文化・伝統を守るために必要な分野もあるかもしれないが、選挙地盤というものは家に帰属するものではなく、国民のものだ。それが基本だ。

私の息子は政治を目指す志に変わりないが、同一選挙区での世襲に否定的である。私は息子の意志を尊重し、選挙区を継がせるつもりはない。

特権身分という「コンクリートの天井」を破る資格を有するのは、自らの特権身分を放棄するもののみである。自民党にそれができるのか。民主党にそれができるのか。それが天下分け目の次の総選挙で問われているのだ。(4月26日記)


(参照記事)毎日新聞社説「世襲制限」「総選挙の一大争点に」

「民主党は政治改革推進本部(本部長・岡田克也副代表)で世襲候補を制限する内規を定め、次期総選挙のマニフェストに盛り込むことを決めた。世襲議員が約3分の1を占める自民党も、菅義偉選対副委員長を中心に世襲制限をマニフェストに加える動きが活発化している。政治に良き人材を集める努力は歓迎する。この点を有権者には、もっと注視してもらいたい。

選挙に勝つには地盤、看板、カバン(政治資金)の「3バン」が不可欠といわれている。世襲議員はこの『3バン』を容易に継承しやすい。しかも、自民党内の人事は当選回数主義が基本で、若くして当選した世襲議員はより優位になっていた。政権復帰後の96年からは、森喜朗首相を除く自民党の首相はいずれも世襲議員。しかも過去2代は1年ほどで政権の座から降りてしまい、世襲批判が急増。ある調査では7割近くが問題視している。

民主党ではこうした事態を受け、世襲候補の制限策を検討してきた。『3バン』のうち、カバンの継承は法的禁止が可能とみて具体策を詰めてきた。先代の資金管理団体、政治団体が集めた資金を、自らの団体に献金させるケースはこれまでもよく見られた。民主党ではこれを封じようと、死去、もしくは引退した段階で先代の資金管理団体などは解消させ、保有資金は高い公益性が担保された団体に寄付する案などを検討している。

地盤、看板の世襲禁止を法制化することは憲法上からも不可能だ。そこで、民主党では先代と同じ選挙区からの世襲候補は、公認しない内規を作り、マニフェストに明記することにした。世襲の範囲は3親等以内に落ち着きそうだ。

一方、自民党では旗振り役の菅選対副委員長は『<自民党もそこまでやるのか>と思われないと選挙に勝てない』と、積極的だ。だが、世襲議員を中心に反対論も根強い。麻生太郎首相も『いろいろ議論しなくては』と慎重だ。党内合意は容易ではない情勢だ。

戦後、さまざまな人材が、与野党問わずに政界を目指した。自民党の前身である保守政党にも、戦前からの党人派、官僚出身者だけでなく、著名な言論人、経済人OBも加わった。ところが90年代以降は、世襲議員の台頭が目につくようになった。

バブルの崩壊で経済も後退し、政治の指導力が一段と重要視されるようになった。人材源の拡充は急務だ。自民党も公募制度を導入するなどしているが、十分ではない。多士済々の政治を実現するには、世襲制限もやむを得ない。自民党も対案を急ぎ、総選挙の一大争点にすべきだ」