(民主党)小沢氏の選挙戦略の中枢に「旧社会党的発想」がある | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(民主党)小沢氏の選挙戦略の中枢に「旧社会党的発想」がある


読売新聞社説の主旨である「安易な修正は避けるべきだ」は、正論である。

民主党の修正要求は、海賊対処本部を新設し、自衛官に海賊対処本部の身分を併用させる、である。その狙いは「自衛隊派遣」の印象を薄めることで、自衛隊の海外派遣絶対反対という旧社会党的な発想が根底にあるように思われる。

民主党の根底にある「自衛隊は悪いもので、使わない方がいい」との旧社会党的発想こそ、民意が、国策の基本である外交・安保政策を民主党に任せるわけにはいかないとなる元凶である。民意が自衛隊を国際公共財として、国際貢献に資するべきとしているのに、この民意のベクトルに逆行している。この旧社会党的発想は、社民党、官公労も共有するものとなっており、野党共闘のイデオロギーとなっている。

小沢氏の選挙戦略の中枢に「旧社会党的発想」がある。政府・与党は、今国会での安易な修正を避け、論戦をもって、民主党と野党共闘のイデオロギーである「旧社会的発想」を民意の前に明らかにすべきである。(4月19日記)


(参照記事)読売新聞社説「海賊対処法案」「安易な修正は避けるべきだ」

「法案の早期成立には与野党の協力が望ましい。だが、安易な法案修正で悪影響が出るのは避けるべきだ。海賊対処法案の審議が衆院で始まった。日本関係船舶以外の外国船も警護できるようにする。民間船舶に接近し、つきまとう海賊船に対して、船体射撃で危害を与えることを認める。それが法案の柱である。

海上自衛隊の艦船は、自衛隊法の海上警備行動を根拠として、ソマリア沖で日本関係船舶を警護している。この活動は、あくまで法案成立までの応急措置だ。既に3回、警護対象外の外国船の救援要請を受け、大音響発生装置で不審船を追い払うなどした。船員法が根拠のため武器使用が大幅に制限されている。海自が効果的な活動ができるよう、法案成立は1日でも早い方がいい。

今後の焦点は、与党と民主党の修正協議である。民主党は、政府に海賊対処本部を新設し、海自隊員に本部員の身分を併任させるべきだ、と主張している。法案の定める海賊対処行動の国会報告を、国会承認にすることも求めている。だが、いずれの主張にも疑問がある。海賊対処本部は、国連平和維持活動(PKO)を所管する国際平和協力本部がモデルだが、防衛省の屋上屋になりかねない。海自艦船は統合幕僚幹部が指揮するのが最も効率的だ。新たな組織は指揮系統を混乱させる恐れがある。

民主党には、『海上保安庁が主体で対応すべきだ』として、海自隊員の身分を海保に移すよう求める意見まである。形式主義の極みで、全くナンセンスだ。この主張の背景には、1990年代前半のPKO『別組織論』のように、『自衛隊は悪いもので、使わない方がいい』という旧社会党的な発想がある。任務の内容に最もふさわしい組織を活用するのは至極当然のことだ。だからこそ、今回は、海保でなく、海自を派遣したのだ。

海賊対処行動を国会承認事項とすることも、自衛隊を動かす法律の整合性の面で問題がある。領海侵犯時などの海上警備行動には国会報告さえ義務づけられていない。国会承認が必要なのは、防衛出動や治安出動など、極めて限定された自衛隊の行動だ。今回、民主党が国会承認に賛成するなら当面の支障はないが、将来、別の海域での海賊に迅速に対応できないリスクも生じる。与党は一連の問題を踏まえ、修正協議は慎重に進めるべきだ」。