(霞が関改革)明治以来の100年ぶりの改革である | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(霞が関改革)明治以来の100年ぶりの改革である


社説の結語は「このままでは、だから政権を代えなければという民主党の主張にいよいよ説得力が増す」という。まずはこれにしっかりと反論できる自民党でなければならない。

地方分権改革は、05年の民意との約束である「郵政民営化を入り口にした小さな政府路線」を貫く改革であり、郵政民営化の次のアジェンダである。地方分権改革と公務員制度改革はセットであり、それが霞が関改革となる。

「官主導を政治主導に」という霞が関改革ができるのは、新しい自民党である、ということを鮮明に示す必要がある。それが現在、同志とともに準備を進めている議員立法の意義である。

地方分権改革推進委員会の第2次勧告に明記されていた政府の出先機関の統廃合による国家公務員の3万5千人の削減を、民主党の支持母体である官公労は、歓迎しているのであろうか。そこをぜひ、朝日新聞にも取材をしていただきたい。

いずれにしても、霞が関改革(公務員制度改革・地方分権改革)とは、明治以来の「100年ぶりの大改革」である。

これはひとつの内閣がどうの、ひとつの政党がどうのというレベルを超えた問題である。

政党政治の根幹にかかわる問題である。それを一つの内閣、一つの政党の問題に矮小化して、政党勢力を分断する言論が目につく。政党勢力の分断こそ、「100年ぶりの大改革」を潰す勢力の初歩的戦術である。マスコミがそれにのるかどうかは、確かに報道の自由だ。しかし、みなさんも、自分の言説の結果責任を意識していただきたいと思う。政党勢力の分断工作の先兵となり官主導の温存に寄与しながら、他方で、官主導の現状を嘆くようなポーズをとることは、許されない。(4月5日記)

朝日新聞社説「分権改革」「首相の『決断』はどこへ」

「地方分権にかける麻生政権の意気込みに大いに期待したのに、結果は全く逆である。政府の出先機関を統廃合する道筋を示す『工程表』のことだ。政府が先月決めた工程表は、2012年までの分権改革のスケジュールを示したものだ。昨年12月、地方分権改革推進委員会(委員長、丹波宇一郎・伊藤忠商事会長)が出した2次勧告を踏まえてつくるはずだったが、肝心の2次勧告の骨格部分がすっぽり抜け落ちてしまった。

勧告を読んでみる。8府省が持つ出先のうち15機関について、116項目の事務や権限を廃止、もしくは自治体に移す。これにより9万6千人の国家公務員のうち3万5千人を削る。国土交通省の地方整備局や農林水産省の地方農政局など6機関を、ブロックごとに『地方振興局』と『地方公務局』に統合する。

ところが工程表には、こうした人員削減の数的目標や『振興局』といった具体案はあとかたもない。あるのは『勧告の方向性に沿って検討を進め』とか『要員規模について精査を勧める』といった抽象的な言葉だけだ。

年内に決める改革大綱に、結論を盛り込むのだという。要するに、秋までにある衆院選が終わるまでは、何も決めないでやり過ごそうということだ。こんな絵にかいたような骨抜きになったのは、自民党の地方分権改革推進特命委員会などを舞台に、役所の意を受けた族議員たちが猛烈に巻き返しを図ったからだ。

これから景気対策が大事なのに、3万5千人も削減すると言っては公共事業を担う出先機関の士気が落ちる。雇用情勢が厳しくなる中、国のハローワークは地方に移すべきではない――。これらが族議員たちの言い分だ。

一見もっともらしいが、本音は別のところにありそうだ。巨額の公共事業などの予算を実際に差配するのは出先機関であり、族議員たちはそこへの影響力を競っている。出先機関の縮小や自治体への権限移譲は、自らの権力の縮小につながりかねない、という思惑が透けて見える。

麻生首相は、そんな抵抗があっても『私が決断する』と、丹羽委員会に大胆な勧告づくりを促したのではなかったか。それがこんな骨抜きを容認するようでは、ほとんど裏切りに等しい。選挙を考えれば、自民党が得意とする利益配分の伝統手法を変えるのは得策でないと踏んだのだろうか。

委員の間に、近く予定される次の勧告を見送ろうという反発の声がくすぶるのも無理はない。歴代自民党政権の分権への取り組みは、威勢のいい掛け声と骨抜き、先送りの連続だった。このままでは、だから政権を代えなければという民主党の主張にいよいよ説得力が増す」