(景気対策)「財政と金融の合わせ技」こそが景気対策の常道 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(景気対策)「財政と金融の合わせ技」こそが景気対策の常道

東京新聞社説の結語にある、「財政と金融の合わせ技」こそが景気対策の常道であるとの指摘は正論である。賢明なる財政出動と賢明なる金融政策の合わせ技こそが、景気対策の王道であるからだ。

日銀短観に示された景況感、マイナス58は、戦後最悪の不況であることを明示しているのだから、政府・日銀は、一体となって、この非常時に、「非伝統的手段」を総動員することを検討すべきではないか。

政府・与党は、過去最大規模の賢明なる財政出動追加を打ち出そうとしているが、日銀が、それに合わせて過去最大規模の賢明なる金融政策に踏み込んでこそ、真の景気対策となる。

日本経済は未だにデフレから脱却していない。新結合を促す経済対策と同時に、デフレからの脱却めざすべきなのではないか。

FRBとイングランド銀行は未だデフレになっていないのに、デフレを阻止すべく、月額換算で、長期国債をそれぞれ約4・5兆円、約3・4兆円を購入することになったが、日銀がデフレ下にあるにもかかわらず、月額1・8兆円と英米の40-50%にとどまり、白川日銀総裁は、これでもう限界としているのである。これは政府が損失リスクを保証しないからか。

政府の経済対策が日本の競争力強化につながるものであることを前提として、デフレからの脱却を政府と日銀が共通目標として、賢明なる金融政策を取ることを期待する。(4月2日記)


(参照記事)東京新聞社説「景況感最悪」「危機は一段と深まった」

「日銀の企業短期経済観測調査(短観)で大企業・製造業の景況感が過去最悪になった。政府・日銀は危機の深刻さを真正面から受け止めて、従来の発想にとらわれない大胆な対応策を検討すべきだ。

日銀短観は景気の先行きについて、企業の見方を集計したものだ。生産水準など現実の経済活動を示す数字ではなく、企業が感じる体感温度といっていい。とはいえ、いずれ設備投資や雇用などに跳ね返る。調査によると、業況が『良い』とみた企業割合から『悪い』とみた企業割合を引いた差で示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でマイナス58と前回12月調査に比べて34ポイント悪化し、水準でも悪化幅でも過去最悪になった。

とりわけ自動車はマイナス92、電気機械は同69、一般機械も同64と日本経済をけん引きしてきた輸出産業が総崩れ状態である。大企業・非製造業はマイナス31、中小企業・製造業は同57、中小企業・非製造業も同42と企業規模や業種を問わず、景況感の悪化が浮き彫りになった。

こうした数字について、河村健夫官房長官は『厳しい景気の状況をそのまま反映した』と論評した。だが、政府・日銀には危機を受け止める深刻さがいまひとつ伝わってこない。どこか、少し深刻な不況程度とみているような甘さが残っているのだ。

現状認識が甘ければ当然、対応策も後手に回る。昨年夏に緊急経済対策を打ち出してから、すぐ次の生活対策を迫られ、いままた本年度当初予算が成立したと思ったら、追加経済対策で補正予算の検討に追われている。

昨年9月に『ハチに刺された程度』と語った与謝野馨経済財政担当相の発言に象徴されるような当初の楽観論が尾を引いているのではないか。それでは追加対策をまとめたところで、秋にはまた追加を迫られかねない。政府・日銀は『恐慌の瀬戸際』とみるくらいの危機感で臨むべきだ。

本腰を入れて考えるなら、重要なのは政府と日銀の連携強化だ。米連邦準備制度理事会(FRB)や英イングランド銀行は一足早く、巨額の国債買い切りを決めた。日銀も国債買い切り増額に踏み切ったが、まだ足りない。『財政と金融の合わせ技』こそが景気対策の常道であるにもかかわらず、いまの当局には連動感が感じられない。中身のある『政府・日銀一体の行動』に向けて緊急協議から始めてはどうか」