(ヤミ専従)民主党は官公労のヤミ専従をどうするか | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(ヤミ専従)民主党は官公労のヤミ専従をどうするか


今日の産経新聞主張の結語である「今回は氷山の一角ではないか。政府は改めて公務員組織全体の再調査にも踏み切るべきだ」は、正論である。農水省のヤミ専従は、あくまでも氷山の一角であり、国家公務員、地方公務員問わず、中央、地方問わず、広範に行われている疑惑がある。

事実、既に、08年社会保険庁と05年大阪市でヤミ専従は発覚している。にもかかわらず、総務省が、昨年5月に中央省庁と地方自治体を対象にヤミ専従の調査を行った結果を、9月に「現時点では該当なし」としたのである。しかし、昨年の3月18日、農水省に「社会保険庁と同じことを農林水産省もやっている」とのヤミ専従を告発するメールが届き、農水省が再調査し、4月3日に142人が疑いありとなったが、2度目の調査で4月15日に48人に、4月24日はゼロとなり、ヤミ専従は確認できなかったとなったのである。

省庁ぐるみで疑惑を隠ぺい工作したことは本当にないのか。3月16日の読売新聞は、142人の職員にヤミ専従の疑いがあるとの結果を得てから4日後の4月7日、農水省の課長が全国の農政事務所ら46の出先機関の幹部を前に「このようなことが明るみにでたら地方組織は維持できない」と発言した、とされる。事実とすれば、この発言を口止めと事務所長は感じ、最終的にゼロとしたことになる。

この「地方組織は維持できない」との意味は、政府の地方分権改革推進委員会で、国の出先機関の統廃合が論議され、地方農政局がその対象であったからである。農水省の労働組合とは、全農林労働組合であり、組合員数1万9000人(昨年3月現在)で、組織率97%で「霞が関最強」と言われ、国家公務員の労組の連合体である「国公関連労働組合連合会」の中核であり、当然、国の出先機関の統廃合に反対である。

官公労のヤミ専従を容認することによって、省庁、地方自治体と官公労の既得権益を共に守ろうとしている、ということはないか。

肝心なことは、その官公労のヤミ専従者が民主党、社民党の選挙マシンとなっていることである。ヤミ専従という国会公務員法、地方公務員法違反の犯罪行為を、具体的には税金を不当に使って、民主党、社民党の選挙活動をすることは、法的に道義的に許されないことであり、民意は容認できないとなる。

民主党はヤミ専従についてどういう態度をとるのか、ぜひ聞きたい。官公労のヤミ専従の是非を次期衆院選の争点にしようではないか。

官公労のヤミ専従を中心にした選挙活動で政権交代をなそうとする民主党が、本当に霞が関改革ができるかどうか、民意も確認したいはずである。(3月22日記)


(参照記事)産経新聞主張「農水ヤミ専従」「社保庁の教訓はどうした」

「農林水産省で、勤務時間帯に職員が許可なく組合活動を行う『ヤミ専従』疑惑が発覚した。労使が組織ぐるみで隠蔽工作をしていた疑いも浮上しており、石破茂農水相が関係部局に調査のやり直しを指示した。当然の判断であり、事実関係を早急に徹底解明するよう求めたい。

同省の説明によると、疑惑については昨年3月の段階で匿名通報により把握していたという。しかし、当時の本省や全国の出先機関の組合幹部1359人について3度にわたり調査したものの、最終的には『ヤミ専従は確認できなかった』と結論づけていた。

だが、理解に苦しむのは調査の中身だ。出先機関の報告を集めただけの最初の調査では、計142人に疑惑ありとされたのに、2度目の調査では48人に激減し、最終的にはゼロとされた。

しかも、調査にあたっては事前に組合側に通報していた。また、本来なら実態解明の先頭に立つべきはずの本省幹部が、出先機関の所長らを集め、事実関係の口止めともとれる指示を出していた疑いも持たれている。

ヤミ専従は、実際には組合活動に専従しているのに、業務についているかのように見せかけて給与をもらい続ける悪質な行為だ。法律で禁止されていることはもちろんだが、公務員として国民に対する重大な背信行為といえる。

昨年は年金記録問題をきっかけに、社会保険庁ではヤミ専従行為も広範に行われていた実態が明らかになり、組合幹部や出先の事務所長ら関係者40人が刑事告発された。全員が起訴猶予処分となったものの、不正に支払われた給与は5億円近くにのぼった。

実態を重く見た総務省は、中央省庁と地方自治体を対象にヤミ専従の実態調査を行ったが、昨年9月に公表された結果は「現時点では該当なし」の判断だった。この中には、今回疑惑が指摘された農水省も含まれている。

表面化しないだけで、こうしたヤミ専従は中央、地方を問わず、いまなお広く行われているともいう。背景には親方日の丸の手厚い身分保障の下で常識はずれの行為が目立つ公務員の組合活動がある。加えて、事なかれ主義から職員管理に甘くなりがちな幹部の当事者意識の欠如も指摘される。今回は氷山の一角ではないか。政府は改めて公務員組織全体の再調査にも踏み切るべきだ」