(霞が関改革)政府幹部人事を「霞が関」が握り続けるのか、政治主導の人事体制にするのか | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(霞が関改革)政府幹部人事を「霞が関」が握り続けるのか、政治主導の人事体制にするのか


政局激震の中で、公務員制度改革が紆余曲折し、迷走している。霞が関の抵抗によってである。ところが、なぜか、霞が関の抵抗は陰に隠れ、自民党改革派が抵抗勢力であるかのような記事もある。問題の本質をずらして国民の目線を瑣末なところにもっていくことが目的のような記事には、気をつけていきたい。

いま議論している公務員制度改革の焦点は、いくつかある。

①内閣人事局長を事務方トップの官房副長官(事務)にして、政府幹部人事を「霞が関」が握り続けるのか、政治主導の人事体制にするのか
②大臣による大規模な「適材適所人事」を可能にするのか、不可能にするのか
③天下りが禁止され政府内で定年まで残る幹部職員の、退職金を含む給与を「削減」できるのか

このうち、①については、高給の幹部ポストをつくるのは行革に反するから、霞が関の事務方トップの兼務にしよう、という「理屈」を考えているらしい。

しかし、①について、内閣人事局長を「オール霞が関のトップ」である官房副長官(事務)にすることは、②の「適材適所人事」や③の「給与削減」にマイナスになってもプラスになることはないだろう。

もしも、①②③について、へんな理屈をこねて改革逆行プランをもってくるようなら、週明けに党のヒラバの議論では、堂々と反対論を展開させていただく。そして、議員立法で公務員制度改革を進めていくしかない。

そのうえで、われわれが民主党に問いかけるべきだ。

我々は、霞が関を改革する。民主党は国民のために賛成するか、官公労のために反対するのか、と。

自民党が争点にすべきは、「消費税」ではない。古い自民党から新しい自民党にチェンジし、公務員制度改革・地方分権改革を次期衆院選の争点にすべきなのである。05年の郵政総選挙の小泉元総理のように「公務員制度改革・地方分権改革の是非を国民に聞いて見たい」とよう。05年と同じく、民意は改革力の覚悟ある党に政権を任せる選択をするだろう。(3月19日記)


(参照記事)日経新聞「行政改革迷走」「出先機関、3万5000人削減盛らず」「公務員制度妥協目立つ」

「政府は3月末にまとめる国の出先機関改革の工程表に、職員3万5千人の削減目標を盛り込まない方針を固めた。地方分権改革推進委員会(委員長・丹波宇一郎伊藤忠商事会長)が求めた統廃合やスリム化についての是非も秋以降に持ち越す。与党内に異論が多いうえ、政局の流動化で大幅な改革は難しいとの判断に傾いたものだ。

政府は24日にも地方分権改革推進本部(本部長・麻生太郎首相)を開き、こうした方針を正式に決める。分権委は昨年12月、首相に第2次勧告を出し、出先機関の改革を求めた。国土交通省の地方整備局や農林水産省の地方農政局などを、企画を受け持つ「地方振興局」と、公共事業を実施する「地方公務局」に再編するとの案。仕事の移譲や合理化を進め、将来的な3万5千人程度の職員削減も要求した。

しかし政府の工程表では、人員削減や組織の統廃合について2009年中にまとめる『出先機関の改革大綱』に結論を先送りする方向だ。工程表は①12年までの新体制移行などのスケジュール②公園・港湾の整備権限といった地方移譲に関する約百の項目――などしか盛り込まない。地方は分権の後退に懸念を強めており、全国知事会は『今後、第2次勧告をたなざらしにさせない努力が必要』(幹部)としている。

政府は18日、ずれ込んでいた国家公務員制度改革関連法案の3月中の閣議決定にメドを付けた。だが中央省庁の幹部人事を一元管理する新組織の名称は再び『内閣人事局』に戻り、規模や権限が縮小するなど妥協も目立つ。国会提出後の与野党修正の動きにも『巻き返し』をうかがう霞が関の思惑がちらつき、迷走が止まる気配はない。

甘利明行政改革担当相と鳩山邦夫総務相、中馬弘毅自民党行政改革推進本部長は18日、国会内で協議。新組織の名前を当初の『内閣人事局』とする方向で合意した。名称は昨年6月に成立した国家公務員制度改革基本法に明記されていたが、総務省行政管理局の移管を前提に一時は『内閣人事・行政管理局』に変える方向が固まっていた。しかし行革相と総務相らは18日、行政管理局を丸ごと移さず、電子政府や独立行政法人管理、行革機能を総務省に残す方針で一致。行政管理局をすべて移さないなら、名称は内閣人事局のままでよいという判断だ。

迷走は名称問題にとどまらない。関連法案は10日までの閣議決定を見込んでいたが、政府案への自民党の強い反発でずれ込んだ。与党では各省庁の給与ランク別の定数(級別定数)の移管を最小限にする落としどころがささやかれる。総務省が戦略的に巻き返しを図ったとの受け止め方もあり、行革関係者は『限定移管は工程表に開けた<アリの一穴>攻めれば折れると思われたら法案は必ず骨抜きにされる』と懸念する声が漏れ始めた」