(内閣人事局)給与体制を含む「人事の一元管理」が問題の本質 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(内閣人事局)給与体制を含む「人事の一元管理」が問題の本質

昨日の産経新聞に、公務員制度改革についての私の言動が「官邸機能強化を警戒する霞ヶ関との共闘」だという記事がでていた。公務員制度改革の問題の焦点をゆがめる記事なので反論しておきたい。

まず、私の内閣人事局問題の基本的スタンスは「内閣人事局は、総務省・人事院・財務省の関連機能を統合して、強力な機関にすべき。総務省の行政管理局の機能も移管すべき」というものであり、この基本的スタンスにのっとって、公務員制度改革基本法成立後、主張を繰り返してきた。

機構定員の管理という行政管理局の担う機能は、「人事の一元管理」と一体不可分という点が核心部分の一つである。

ところが、「人事の一元管理」と全く無関係な機能まで統合し、名称も「内閣人事・行政管理局」と改め、独法の審査などのほか、政府の情報システム、情報公開法や個人情報保護法まで担当することになるようだ。理由は、これらの機能も現在、行政管理局が担っているから、というだけだ。

「人事の一元管理」という新しい仕組みを作ろうというのに、「既存の組織を丸ごと移管し、これまでどおりの業務を行う」という発想は有害だ。霞ヶ関守旧派は「本来の内閣人事局の機能強化」には抵抗しつつ、「焼け太り」で幹部ポストが増えるだけなら大歓迎、という人がいるかもしれない。そんな“縦割り縄張り意識”に凝り固まったまま「内閣に格上げ、ポスト拡大」といった焼け太り狙いで動いている人々がいたとして、私や改革派議員がそんな人々と共闘するはずもない。

私や改革派議員が主張している天下り根絶のための公務員制度改革の具体案(高齢公務員の給与引き下げ、幹部職員の身分保証の見直し、年俸制の導入など)に後ろ向きの人々と、我々が手を組むことなどあり得ない。

記事では、我々が現時点の政府案に対し意見を言っていることを、政局にからめようとしているが、これも間違いだ。

仮に現時点の政府案のまま、つまり内閣人事局は「焼け太り」を許し、天下り根絶の工程は全く不明確のまま、関連法案を閣議決定して国会提出するようなことになれば、民主党から徹底攻撃の口実を与えることになる。それこそ政権の弱体化につながるではないか。

さらに記事は、「自民党内で議論に時間がかかり、10日の閣議決定が遅れると、改革が根底から崩れる」と言いたいようだが、これもおかしい。

「人事の一元管理」という新しい仕組みがしっかりできているかどうかが問題の本質だ。この人事の一元管理には給与制度なども当然含まれる。組織(器)だけでなく、給与制度など中身もしっかり作らなければならない。給与制度改革をしないで器だけつくればいいだろう、などという議論は国民には通用しない。

もちろん改革にはスピードも求められる。我々は難しいことを言っているわけではない。去年から当たり前のことを言い続けてきた。政府がやる気にさえなれば、そんなに時間をかけなくても国民が納得する答が書けるはずだ。(3月4日記)
するようなことになれば、民主党から徹底攻撃の口実を与えることになる。それこそ政権の弱体化につながるではないか。

さらに記事は、「自民党内で議論に時間がかかり、10日の閣議決定が遅れると、改革が根底から崩れる」と言いたいようだが、これもおかしい。

「人事の一元管理」という新しい仕組みがしっかりできているかどうかが問題の本質だ。この人事の一元管理には給与制度なども当然含まれる。組織(器)だけでなく、給与制度など中身もしっかり作らなければならない。給与制度改革をしないで器だけつくればいいだろう、などという議論は国民には通用しない。

もちろん改革にはスピードも求められる。我々は難しいことを言っているわけではない。去年から当たり前のことを言い続けてきた。政府がやる気にさえなれば、そんなに時間をかけなくても国民が納得する答が書けるはずだ。(3月4日記)


(参照記事)産経新聞「反麻生&霞が関タッグ?」「 内閣人事・行管局 設置法案10日提出先送りへ」

 公務員制度改革の目玉である「内閣人事・行政管理局」の設置を盛り込んだ関連法案について、政府が目指していた10日の国会提出が先送りされる見通しになった。自民党内の麻生政権に批判的な議員らが人事・行管局を「組織の焼け太りになる」と批判ののろしを上げたためだが、官邸機能が大きくなることを警戒する「霞が関」と共闘しているとの見方もある。法案化作業が難航すれば人事・行管局の来年4月の発足が難しくなり、公務員制度改革が根底から崩れかねない。(田中靖人)

◆骨子すら
 政府が人事・行管局設置のための国家公務員法改正案を10日に国会提出するためには、今週中に与党内手続きを終える必要があるが、いまだに骨子すら了承されていない。
 政府が、同法改正案の原案骨子を自民党行政改革推進本部の公務員制度改革委員会に提示したのは2月26日。これに「改革派」と称される塩崎恭久元官房長官や、珍しく会合に姿を見せた中川秀直元幹事長らがかみついた。
 原案は、内閣人事・行管局に、総務省行政管理局にある機構・定員管理機能を加え、行政情報システムや独立行政法人(独法)の新設・廃止の審査機能も移管するとした。
 中川氏は「独法は公務員制度改革基本法が想定しない話だ」などと組織の肥大化に懸念を表明。塩崎氏も「人事と関係ないことを入れるのは反対だ」と機構・定員管理機能以外の移管に反対の意向を示した。このため、会合では骨子案の了承を見送り、次回会合の見通しも立っていない。
 ただ、塩崎氏らは、2月に策定したばかりの公務員制度改革の「工程表」見直しまで要求した。これには政府側も「とても対応できない」(公務員制度改革本部事務局)と音を上げており、塩崎氏らの要求を「反対のための反対だ」(政府関係者)との見方もある。

◆先行移管
 そもそも、昨年6月に成立した基本法は、内閣官房に「内閣人事局」を設置すると規定し、人事行政に関する総務省や人事院の機能移管を明記した。
 政府は当初、公務員への労働協約締結権付与をめぐる問題が解決するまでは、人事院の機能の移管を先送りし、総務省の人事・恩給局と行管局の機能のみを先行移管する方向だった。
 だが、当時、自民党にいた渡辺喜美元行政改革担当相らが「旧行政管理庁が復活するだけで改革が骨抜きになる」として、人事院や財務省からも移管すべきだと主張した。
 こうした経緯から、甘利明行革相は行管局について「戦略的な人事管理には組織管理も不可欠だ」と行管局全体の移管を決定。名称も「内閣人事・行政管理局」と変更した上で「工程表」を決めた。
 鳩山邦夫総務相は2月23日の衆院予算委員会で「強力な組織が内閣官房にできあがることで、びしばしと行革ができる」と胸を張った。しかし、機能強化を求めていたはずの渡辺氏は2日、一転して政府案を「焼け太り体制だ」と批判して、中川氏らを側面支援した。

◆警戒感も
 また、霞が関内にも官邸機能が強化されることへの警戒感が出ている。
 特に、財務省は内閣人事・行管局ができると、将来は「内閣予算局」にまで拡充され、「同省の力の源泉である予算編成を官邸に奪われるのではないかとの危機感を持っている」(総務省関係者)という。
 くしくも、自民党「改革派」と霞が関が政府案に反対しているという構図になり、官邸サイドも「麻生内閣つぶしの動きだ」(政府関係者)と両者の動きに神経をとがらせている。