(民主党)55年体制の遺物である「旧社会党的政権の是非」を衆院選の争点に | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(民主党)55年体制の遺物である「旧社会党的政権の是非」を衆院選の争点に


昨日の衆院予算委員会で、民主党は、総選挙の前哨戦として菅氏をはじめ5人の論客を立て、麻生総理を攻めたてたが、追い込め切れず不発に終わった。原因は、民主党に「まともな政権構想」がないからである。


下記の東京新聞社説にも指摘されている「ソマリア沖の海賊対策」を何故、予算委審議で取り上げなかったのか、である。民主党内で合意ができていないからである。国策の基本である外交・安保政策において、党内合意ができないのだから「まともな政権構想」が作れないのである。民主党が政権交代しても、外交・安保問題の懸案事項は消滅するわけはなく、継続されるのであり、オバマ政権になって、その懸案事項の解決要請は一段と強まるのである。


具体的には、アフガニスタン本土への支援要請、普天間移設のスピードアップである。「まともな政権構想」としての日米同盟を基軸とした外交・安保政策でない限り、対応できない。民意は、民主党政権が反米政権になると気付きつつある。民意の最大勢力の大連立志向の原因の一つはここにある。


昨日の衆院予算委で5人が民意に向かってアピールしたかったことは、社説が指摘しているように「政権交代がなければ、役人支配の『官僚内閣制』を打破できず、税金の無駄遣いが改まらない」に尽きるのである。しかし、役人支配の「官僚内閣制」を打破するのに、官公労の力を借りるのだから、官公労の既得権益は温存されるのであり、それは官僚内閣制打破にならないのである。この矛盾に民意はすでに気づいている。民意の最大勢力の大連立志向の原因の、もう一つはここにある。


「公務員の賃下げとリストラ」を政権公約に明記できない党に、「官僚内閣制」の打破はできない。反米政権と官公労主導政権は同義なのであり、その旧社会党的政権に、まともな政権構想などあるはずがないのである。55年体制の遺物である旧社会党的政権の是非を、衆院選の争点にすべきなのである。(2月5日記)


(参照記事)東京新聞社説「衆院予算委」「聞けた『総選挙前哨戦』」


「予算成立後の解散・総選挙へ向かいつつあるのか。そんな思いを抱かせるような論戦だった。政権交代で何が変わるかをめぐる民主と首相らの攻防。ともに議論を重ね、対立点を鮮明にしてほしい。


今年中に確実に総選挙がある中での2009年度予算案を審議する衆院予算委員会である。いつになく激しいヤジが飛び、委員長は再三注意を促した。民主党の質問者からは『麻生太郎首相はやるやる詐欺の常習犯だ』などと時に乱暴な発言もあった。だが全体的にみると、総選挙の争点になりうる課題について、質疑はそれなりにメリハリがあり、聞き応えはあった。


民主は、菅直人代表代行、前原誠司副代表、細野豪志、馬淵澄夫、長妻昭の各氏論客をぞろりとそろえた。先の代表質問に立った鳩山由紀夫幹事長は『民主中心の政権』が実現した場合、政治と行政の仕組みが根本から変わるとして新しい日本の姿を提示している。論戦の第一弾で、その具体論を政府・与党に突きつけた。


焦点になったのは、税金の使い方だ。民主は道路特定財源の一般財源化を取り上げた。特定財源でなくなる以上、社会保障や環境などの分野に使うべきなのにほとんどが道路予算に回っていると批判。首相は『一般財源化は歳入の話だ。歳出は地方の要望を検討した内容になる』と反論した。道路偏重予算の継続とも受け取れる発言は疑問だ。自民党若手議員にも異論がくすぶっている。詳しい説明を求めたい。


公務員の天下り根絶や公益法人廃止などでも、民主は政府対応の『甘さ』を追及した。政権交代がなければ、役人支配の『官僚内閣制』を打破できず、税金の無駄遣いが改まらないとアピールするためだ。一方、中川昭一財務相らは民主の景気対策の財源が明確でないとかみつくなど、有権者を意識したやりとりが続いた。


民主の小沢一郎代表は予算成立後解散の可能性に言及している。根拠ははっきりしないが、決戦へ与野党が政策論でしのぎを削るのは歓迎したい。一票を投じる際の貴重な判断材料になるからだ。その意味では、民主がソマリア沖の海賊対策を予算委審議で取り上げていないのは物足りない。首相も追及をかわすことばかりに専念すべきではない。自公政権が目指す『国のかたち』を堂々と論じる。それでこそ『前哨戦』が盛り上がるというものだ」