(民主党)人事院の抵抗の論理と民主党の論理 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(民主党)人事院の抵抗の論理と民主党の論理


「いま民主党に問われるのは政権をとった後のことだ」は、正論である。


「民主党政権になったら何が変わるのか」が、具体的な姿として、民意に見えないからである。理由は、「まともな政権構想」を何一つ明らかにしていないからである。それは、政権構想を明らかにしては、政権交代ができなくなるからである。


民主党中心の政権とは、旧社会党的政権となることが明らかになるからである。官公労主導の旧社会党的政権となるのである。


一つの例をあげよう。


昨日の参議院本会議で、元自治労本部書記長の民主党参議院議員は、以下のように質問することで、今日の日経新聞に「官僚機構の奥の院」といわれ、「過去の行政改革や公務員制度改革でも常に改革つぶしに暗躍してきた歴史を持つ」といわれる「改革つぶしの人事院」の主張を側面支援していることだ。


「労働基本権問題を先送りしたまま、人事院が担う代償機能を内閣官房に移管することは、憲法問題になりかねない。首相の見解は」


人事院の抵抗の論理は「使用者たる内閣が公務員の給与を勝手に決めることになり、労働基本権制約の代償機能が失われる」というもので、元自治労本部書記長の民主党参議院議員の論理と全く同じである。


私は、2006年から、こんな論理はおかしいから、一刻も早く、労働基本権制約問題にメスを入れて、人事院を廃止して、財政赤字の中での公務員給与を削減すべきと主張してきている。当然、官僚はそれが分かっているから、労働基本権制約問題の結論を出すことを先送りしている。


これから、さらに正規雇用のリストラも進むかもしれない。そんなときに、公務員だけが憲法問題をタテに、夏のボーナスの満額給付をもらい続けるのか。いつまでもそんなことができるわけがない。


少なくとも、官公労主導の旧社会党政権たる民主党政権では、自治労や日教組のボーナスカット、高額退職金カットには手をつけられないだろう。


だからこそ、政権交代を望むは31・6%しかなく、政権交代にNOが49・8%もあるのである。自民党が、大連立を志向する民意のベクトルに沿った「まともな政権構想」を提示することが求められている。(2月3日記)


(参照記事)産経新聞「大機小機」「危機はチャンス逆もまた・・」

「『危機はチャンスでもあります。危機が混乱をもたらすのか、それとも新しい時代を開くのか。それは私たちの対応にかかっています』。1月28日、麻生太郎首相は施政方針演説で金融危機についてこう語った。自らを鼓舞するかのようでもある。麻生内閣の支持率は一向に下げ止まらない。各種世論調査で支持率は20%前後。それにもまして気になるのが70%を超す不支持率の高さだ。


いってみれば『4人のうち3人が麻生さんノー』と言っているにひとしい。当然ながら政権は危機状況。永田町では、いま衆院選があれば、民主党が勝つのではないかという話が信ぴょう性をもちつつある。すでに閣僚名簿を考えだしたという説もある。


危機はチャンスになりえるが、チャンスを生かせねば危機の始まりになる。あまのじゃくの性格ゆえ、逆もまた真ではないかと考えたくなる。『民主党政権になったら何が変わるのでしょうか』。そんな質問をよくうける。だれもが民主党政権の具体的な姿を描けない。いまの民主党への支持は『自民党はもうダメ』という批判、不満の裏返しだろう。つまりイメージによる支持であり、それは何かのきっかけで逆転する可能性があるということだ。


自民党全盛時代の野党は抵抗政党だった。自民党は泣く泣く野党に譲ったかっこうをしながら実をとった。こうした談合の『国対政治』はいまはない。与党にそんな余裕はとうにない。野党は強く要求し、与党がつっぱねて国会は混乱。そして有権者があきれる。そんな構図が繰り返されている。


第2次補正予算をめぐる両院協議会はその典型だ。民主党は定額給付金反対をアピールできた。ただ、憲法が予算に関する衆院の優越を規定している以上、こんなことに2日間もかけるのはムダなことではないか。残ったのは徒労感。有権者が期待しているのは旧来型の抵抗野党としての民主党なのかどうか。党首ではなく党を代表すると思えない議員が衆院代表質問に立つのにも首をかしげる。


有権者は民主党を単なる野党とは見ていない。政権党が視野に入ってきている。行儀よくしていても政権はとれない、という声もあるが、いま民主党に問われるのは政権をとった後のことだ。泣いても笑っても衆院選は近い。そろそろ『奇策』から脱皮してほしい」