(中長期的な政策)「日本が目指す経済社会とその実現のためのシナリオ」が重要 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(中長期的な政策)「日本が目指す経済社会とその実現のためのシナリオ」が重要


日経新聞社説に書いている「付則では増税の前提として『経済状況の好転』を上げているが、では経済を好転させるための短期的および中長期的な政策は何なのかを現内閣がまだ示していない」は、正論である。


麻生政権は、今春をメドに、「日本が目指す経済社会とその実現のためのシナリオ」を作るというが、日銀の経済見通しにあるような、実質経済成長率が、08年マイナス1・8%、09年マイナス2・0%と戦後最悪の98年のマイナス1・5%を2年連続超えるという、戦後最悪の景気後退局面を打開するものでなければならない。


政府・与党こそが「日本が目指す経済社会とその実現のためのシナリオ」を提示できるというところをしっかりと示さなければならない。(1月24日記)


(参照記事)日経新聞社説「『消費税を増税できる経済』への道筋示せ」


「政府は税制改正関連法案を23日に閣議決定し、その付則で『消費税を含む税制の抜本改革を行うため、2011年度までに必要な法制上の措置を講ずる』とうたうとともに、増税の実施日について別の法律で定める方針を明記した。11年度の増税を想定していた政府の当初案に対し『先送り』の余地を持たせることで、政府・自民党内の混乱を収拾した。


財政の厳しい現状や高齢化で社会保障支出が増えることを考えれば消費税率は早めに引き上げるのが望ましい。だが経済の不振が続くときに増税できるわけがない。実施時期に弾力性を持たせたのは当然だ。しかし政局絡み、総選挙にらみの今回の『消費税騒動』は、大事な問題を素通りした。


まず、付則では増税の前提として『経済状況の好転』をあげているが、では経済を好転させるための短期的および中長期的な政策は何なのかを現内閣はまだ示していない。麻生政権は今春をメドに、日本が目指す経済社会とその実現のためのシナリオを作るという。福田前内閣の最後に閣議決定した『新経済成長戦略改訂版』をもとに低炭素社会の構築、医療・介護、農業などについて目標や具体策を検討中だ。今の状況から脱出するには積極財政も必要だが、どの分野をどう育てるかの青写真がなければバラマキに終わる。その意味でも、このシナリオ作りを急ぐ必要がある。


だが、これまで内閣ができるたびにつくった成長戦略は政治的に難しい部分に手をつけず実効性の乏しいものに終わった。各省庁の案をもとにするやり方では当然だ。成長戦略は各省の予算獲得の手段に使われているのが実態。今回も各省庁案の寄せ集め方式では同じことになる。


例えば、低炭素社会の構築なら、カギとなる排出量取引制度の具体策、農業活性化であれば参入を自由にする農地法の改正など重要課題に正面から切り込まないと意味がない。潜在成長力を高めて設備投資を誘発するようなパワーのある成長戦略をぜひつくり、実行してほしい。


また消費税を増税した場合に増税分を社会保障にどのように活用するかの議論が全く進んでいない。年金にせよ、医療・介護にせよ、今の不公平で非効率な仕組みを前提にして消費税で不足分を補う発想では、増税に理解を得られないだろう。行財政改革を含め、増税の前提となる問題に本気で取り組まなければ消費税増税は11年度であれ、15年度であれ、そう簡単ではない」