(かんぽの宿)民意は「待った」ではなく「加速せよ」と督促しているのではないか | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(かんぽの宿)民意は「待った」ではなく「加速せよ」と督促しているのではないか

かんぽの宿を売却することは、郵政民営化を完遂する1歩である。(下記記事参照)


05年の総選挙で民意は「郵政民営化を入口にした小さな政府路線」を選択したのである。かんぽの売却への「待った」を、民意は自民党内の「郵政民営化の見直し」と連動していると見るかどうか。05年の民意が選択した「郵政民営化を入口にした小さな政府路線」を否定し、その「逆コース」を歩んでいるとみなすかどうか。


もしも、「逆コース」を歩むならば、解散して民意に信を問うべき、ということになるだろう。民意は、「逆コース」ではなく「正しいコース」に戻し、「待った」ではなく、「加速せよ」と督促していると、私は思う。(1月18日記)


(参照記事)朝日社説「かんぽの宿」「筋通らぬ総務相の横やり」


「日本郵政が全国にもつ宿泊施設『かんぽの宿』をオリックス不動産への譲渡する話に対し、許認可権をもつ鳩山総務相が『待った』をかけている。日本郵政の西川善文社長から説明を受けたが、鳩山氏は『納得できない』という。だが、理由が不明確で納得できないのは、鳩山氏の『待った』の方ではないのか。許認可という強権を使い、すでに終わった入札結果を白紙に戻そうというのなら、その根拠を明示する責任はまず鳩山氏にある。


かんぽの宿は年間200万人ほどの利用があるものの、赤字続きだ。郵政民営化から5年以内に譲渡するか廃止することになっていた。日本郵政は前任の増田総務相が認可した08年度の事業計画にかんぽの宿の譲渡を盛り込み、昨年4月から入札手続きに入った。27社が応札し、2度の入札でオリックスに決まった。


全国の宿70施設と社宅9か所を一括して約109億円で売却する。資産の帳簿上の値打ちは141億円だが、借金を差し引いた純資産は93億円。落札価格は、これを16億円ほど上回る。


鳩山氏が問題だと指摘するのは次の3点だ。なぜ不動産価格が下がるいま売るのか。なぜ一括売却なのか。なぜ規制改革・民間開放推進会議の議長を長く務め、郵政民営化を指示していた宮内義彦氏が率いるオリックスに売るのか。『国民が“出来レース”と見る可能性がある』として、譲渡に必要な会社分割を認可しないという。これに対して西川社長が説明した内容は、しごくもっともに思える。


赤字が毎年40億~50億円なり、地価が急上昇しない限り、早く売る方が有利だ。一括売却でないと不採用施設が売れ残り、従業員の雇用が守れない。全国ネットとした方が価値も上がる。最高額で落札し、雇用を守る姿勢がもっとも明確だったのがオリックスだ――。


鳩山氏は譲渡価格109億円が適切か総務省に調査させるという。だが調査する前から『納得する可能性が限りなくゼロに近い』とも発言している。これはとうてい納得できない。明治時代の官業払下げならいざしらず、競争入札を経た結果に対し、さしたる根拠も示さずに許認可権を振り回すのでは、不当な政治介入だと批判されても抗弁できまい。


宮内氏は規制緩和や民営化を推進してきた。官僚任せでは構造改革が進まないため、当時の政権が要請したものだ。過去の経歴や言動を後になってあげつらうのでは、政府に協力する民間人はいなくなってしまう。自民党内では、郵政民営化の見直しの動きが続いている。鳩山氏はこれとの関連の有無について言及していないが、もしも『待った』の真意が民営化策の見直しにあるのなら、正面から堂々とそちらの主張をするべきだ」