(消費増税)繰り返し、麻生総理の英断に期待する | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(消費増税)繰り返し、麻生総理の英断に期待する


中国の古典の「易経」に「君子は豹変し、小人は面を革む」とある。


その意味は「君子は日進月歩、日々善に変化していく。これに反して小人は心にもなく顔面だけ、上の人の意に従う態度をとる」である。豹変するとは善に変わることであり、ブレるとは違う。ブレるとは悪に変わるの意味である。(下記記事参照)


同じく中国の古典「孟子」に「天の視るは我が民の視るに自い、天の聴くは、我が民の聴くに自う」とある。その意味は「天は、民の目にしたがってすべてを見、民の目にしたがってすべてを聞く。すなわち民の心が天の心。民の声が天の声となる」である。


民の心、民の声とは、民意となる。民意に従うことが善政であり、民意に背くことが悪政となる。これは、議会制民主主義の大原則である。今、その民意の7割が内閣不支持を、民意の6割が消費増税不支持である。


もちろん、政治家として民意のベクトルに逆行してでも、「民の利益」を守らなければならないときがある。


政治家として、条件が整ったときには、どこかで増税をお願いしなければならない時期もくるだろう。しかし、それは100年に一度の危機の真っただ中の今ではない。今後ますますデフレが進行し、正規社員にまで失業が拡大していく中での増税は、「官の利益」にはなるかもしれないが、絶対に「民の利益」にはならない。日本経済は二番底・三番底をつけるだろう。いろいろな会社が倒産し、いろいろな家庭を不幸のどん底に陥れる危険がある。


親の失業により、高校生・大学生が退学を余儀なくされ、夢の実現を諦めなければならないかもしれない。新規卒業者が就業できないかもしれない。そうした青少年の不安に政治はどう応えるのか。

ある人は、増税は景気回復が前提条件だから、そんなことにはならない、という。しかし、それは間違いだ。


霞が関の諸君が生みだしたであろう「経済状況の好転」という霞が関文学は、経済統計上は景気の底打ちをした直後のことであり、国民感覚でいえば不況のどん底である。これは「景気回復」とは似て非なるものであり、不況のどん底でも増税ができるというとんでもない霞が関文学だ。彼らは不況のどん底でも「法律で決めたことですから増税してください。そうでないと法律違反です。決めたのはみなさんですよ」といってくるだろう。


霞が関の諸君は、最も楽観的なシナリオでも、失業率が増大することが分かっていながら、増税シナリオを淡々とつくる。そんな人々が政策に関与しているのは恐ろしいことだ。100年に一度の危機において、絶対に失業することのない人々が政策に関与することの恐ろしさを痛感する。

彼ら一人一人に聞けば、「私たちは総理と与党がお決めになったことにしたがっているだけです」ということだろう。だから、私は与党議員としての国民に対する責務を果たす。


そして、繰り返し、麻生総理の英断に期待する。(1月16日記)


(参照記事)産経新聞「税制法案付則、首相『消費増税』盛り込み指示」「自民党内不満の嵐」


「麻生太郎首相は15日、中川昭一財務相を首相官邸に呼び、今月下旬に国会提出予定の税制改正法案の付則に、3年後の消費税増税方針を明記した政府の『中期プログラム』方針を盛り込むように指示した。消費税増税方針に対し、自民党内では不満が渦巻いており、税制関連法案の採決で造反が続出する事態となれば、政権は窮地に陥る。各派領袖は不満、分子の鎮圧に躍起だが、付則をめぐる党内対立は政権の先行きに暗い影を落としている。


首相は中川財務相に『政府として決めたことを粛々と進めてほしい』と指示。記者団には『(中期プログラムは)党の了承を得て閣議決定されたと理解している。従って瑕疵はない。党がさらに丁寧な説明に努力するのはよいことだ』と述べ、党の了承取り付けに自信を見せた。


だが、15日朝の自民党財務金融部会・金融調査会の合同会議は異様な雰囲気に包まれた。伊吹文明前財務相ら党税制調査会の重鎮がずらりと並び、にらみを利かせたが、若手・中堅は相次いで付則への方針盛り込みに反対を表明。業を煮やした伊吹氏が『平成23年に景気が回復したら(増税を)発動する。しなければ発動しない。それだけの話だ』と説明したが、若手らの納得は得られなかった。


15日昼の各派総会でも領袖らは『緊迫した国会だからこそ政権与党の自覚は必要だ。つらい時に我慢して政権を支える使命感をもってほしい』(古賀誠選対委員長)、『中期プログラムの表現はあらゆる角度から検討して作った道筋の記述だ』(津島雄二元厚相)――と相次いで若手・中堅を牽制した。


だが、最大派閥の町村派では、主流派路線の町村信孝前官房長官、反主流色を強める中川秀直元幹事長という2人の代表世話人がさや当てを演じた。町村派総会前には中川氏の主導で町村政策委員会が開かれ、付則への批判が噴出した。町村氏は総会で『首相が<これでいきたい>と言ったことを変えると<また、ぶれた>と言われる。その政治的なマイナス効果を考えてほしい』とクギを刺したが、中川氏は『増税の前にやるべきことがある』と譲らなかった。


付則をめぐる論議は来週以降に本格化する見通しだが、中川秀直氏は『首相には国民のための英断を期待したい。英断こそリーダーシップであり、ぶれではない』と述べ、付則の修正に応じなければ徹底抗戦する考えを表明。混乱は避けられそうにない。


こんな一触即発の情勢に公明党は苦り切っている。中期プログラムでの増税明記には本音は反対ながら「連立の信義」を優先して党内をなだめてきた経緯があるだけに自民党の内紛は迷惑千万なのだ。15日の党常任役員会などで『自民党の動きは単なる権力争いじゃないか』(幹部)と不満の声が続出。『うちが何か言えば利用され、こじれるだけだ』(別の幹部)と当面静観の構えだが、混乱が続けば連立関係まできしみかねない」。