(「新たな政権」像)「オール永田町」が結束しなければ完遂できない | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(「新たな政権」像)「オール永田町」が結束しなければ完遂できない


社説の結語である「次の衆院選に当たって、各党は、天下り問題も含めた公務員制度全体の改革案を、政権公約として改めて示すべきだ。そのうえで新たな政権のもと、与野党で強力な体制をつくり、実行に移すしかない」は、正論であるが、問題は、次期衆院選を経ての「新たな政権」像を、民意がどう描いているかである。


昨日発表された、読売の世論調査(9-11日)で、「次の衆院選のあとに、どのような政権ができるのが望ましいと思いますか」の設問に、対する回答が、政界再編による新しい枠組みの政権37・6%、自民党と民主党による大連立政権24・3%、民主党中心の政権21・7%、自民党中心の政権11・6%、わからない4・8%となっている。この意味は、民意は、民主党の政権交代を望まず、自民中心の現状の政権継続を望まず、政界再編による大連立を含めた新しい枠組みの政権を望んでいるとなる。民意の61・9%が、である。


一方、朝日の世論調査(10,11日)で「今後も自民党を中心とした政権が続くのが良いと思いますか。民主党を中心とした政権に代わるのがよいと思いますか」の設問に対して、自民党中心24%、民主党中心44%、わからない32%となっている。この違いは、朝日調査が2者拓一的な設問だからであり、「第3の選択」を提示していないからである。事実、「わからない」が32%と大きくなっている。読売調査は分からないが4・8%と小さい。いずれが、民意を正確に反映しているかとなれば、読売調査の結果となる。民意は政権交代ではなく、政界再編による大連立を含む新しい枠組みの政権を求めている。


民意は、官主導の中央集権体制を地域主権の地方分権体制に改めることが公務員制度改革の完遂であり、そのためには強い政治主導が不可欠と認識している。天下りを根絶し、国の出先機関を廃止、省庁再々編をなし、公務員の大リストラを断行するには、「オール霞ヶ関」に対して「オール永田町」が結束しなければ完遂できないことを理解している。党利党略の、「重箱のすみ」をつつくような、為にするような政府与党批判に起因する与野党対決は、「オール霞ヶ関」の望むところだろう。そんなことでは「明治以来の百年以上続く官主導は終わらせることができない」と、民意は冷静に判断している。


民意は、民主党が天下り根絶は主張するが、公務員の大リストラに一切言及しない、公務員制度改革の完遂への覚悟に疑問を持っているのである。だから民主党政権前夜といった熱狂も興奮みない。だからこそ、自民党が、公務員制度改革の完遂への覚悟を固めて、それを旗にすれば、次期衆院選を経て、民意の7割超を再編成、再結集することが可能になると思う。(1月13日記)


(参照記事)朝日新聞社説「公務員改革」「新たな体制で仕切り直せ」


「現状を改める必要性では与野党の多くの議員が一致しているのに、具体的な動きとなると足踏みしているのが、国家公務員制度の改革である。政府は昨年、公務員の幹部人事を各省任せにせず、首相官邸で一元的に管理するための『内閣人事局』の09年度中の発足をあきらめ、来年4月へ先送りした。そのうえで、労働基本権の拡大なども含めた改革全体の工程表を近く決めるという。


来年4月といっても、任期満了を今秋迎える衆議院の総選挙がそれまでに必ずある。ことは日本の官僚制度の基本にメスをいれようという大改革だ。あたふたとスケジュールにこだわることなく、新たな政権のもとで仕切り直すのが賢明だ。


内閣人事局は、与党と民主党の合意で、昨年6月に成立した国家公務員制度改革基本法に盛り込まれた。各省ごとにやっていた幹部人事の原案づくりを、官房長官のもとに一本化することが柱になっている。『省益あって国益なし』と言われるほど、中央省庁の官僚には縦割り意識が染みついている。そこに風穴を開けなければ、国民のための行政はできないだろう。ねじれ国会の中、与野党がそういう問題意識で一致したのは意味のあることだった。


これを受けて有識者による顧問会議が昨年11月に報告書をまとめた。人事院や総務省、財務省の、公務員人事にかかわる部門を内閣人事局に移すという内容だ。ところが、これらの役所との折衝が難航し、それが09年度内の発足を断念する直接の理由となった。ただ、この顧問会議では、人事局に幹部人事の原案をつくるだけの実質的な権限をどうやって持たせるかという中身の議論が極めて不十分だった。麻生首相への政権交代もあって検討開始がずれ込み、実質的な議論の期間が1カ月しかとれなかったからだ。


このため、基本法を推進した自民党議員からは『拙速に形ばかりつくるべきではない』と骨抜きを警戒する声が出たし、基本法案の修正協議に加わった民主党からも、蚊帳の外に置かれた不満が出たりしていた。


政府は昨年末、安倍政権下で新設が決まった天下りあっせんのための『官民人材交流センター』を発足させた。だが、天下りを承認する監視委員会の委員が野党の反対で決められないままの見切り発車だった。本来やめることになっている『わたり』と呼ばれる再々就職のあっせんを認めるかどうかもあいまいなままだ。


次の衆院選にあたって、各党は、天下り問題も含めた公務員制度全体の改革案を、政権公約として改めて示すべきだ。そのうえで新たな政権のもと、与野党で強力な体制をつくり、実行に移すしかない」。