(地方分権)「看板の架け替え」で終らせてはならない | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(地方分権)「看板の架け替え」で終らせてはならない


私はかねてより、麻生総理が地方分権、国の出先機関の廃止に捨て身の覚悟で取り組むことが政権浮揚策であり、そのことについては、全力で支持するといっている。


民意は、今まで、行政の大きな無駄に辟易してきたが、100年に一度の金融危機による世界大不況下の今、非正規社員のリストラが、社会問題化する中、公務員は何故、リストラがないのか、ボーナスが満額もらえるのか、何故、同じ仕事なのに民間の2-3倍の給与をもらう地方公務員の給与が下がらないのか、何故、二重行政なのかに、特に厳しい視線を向け出しているのである。


問題は、その「大胆な行政改革」のベクトルである。地方分権にである。明治維新以来の中央集権体制を、地方分権にすることが、大胆な行政改革のベクトルなのである。中央政府の権限と財源を、地域政府に移譲することである。大きな中央政府を小さな政府にして、小さく弱かった地域政府を大きく強くするのである。大きな政府でもなく、小さな政府でない、賢い政府路線である。


この賢い政府路線への大いなる一歩が、二重行政という無駄をなくす、地域政府に権限と財源を移譲することである。この民意が望む「大胆な行政改革」に、麻生総理が覚悟を固めて、民意は全面的に支持するのである。


ただし、麻生総理には気をつけていただきたい。霞ヶ関文学の世界で「統廃合」とは、必ずしも「廃止」や地方移譲ではなく、国の機関としての「看板の架け替え」だけで終らせる意味が含まれている。こここそがいつも政治家が煮え湯を飲まされるところであり、覚悟をもって「抵抗勢力」と戦うポイントである。(1月10日記)


(参照記事)産経新聞「地方分権工程表で指示」「2次勧告通りに」「首相、族議員と対決姿勢」


「麻生太郎首相は9日、今後3年間にわたる国の出先機関の統廃合のスケジュールを示す工程表に、政府の地方分権改革推進委員会(委員長・丹波宇一郎伊藤忠商事会長)の第2次勧告を忠実に反映させていく方針を決めた。すでに、関係者に自民党との調整に入るよう指示した。


首相の方針には、2次勧告や地方分権に反発する党内の『抵抗勢力』と戦う姿勢を示すことで政権浮揚につなげ、同時に、年内に行われる衆院選の政策の目玉にしたい考えがある。


2次勧告は、国土交通省地方整備局や農水省地方農政局など6つの出先機関について、権限の一部を地方に移した上で3年後を目標に『地方振興局』『地方工務局』(いずれも仮称)に再編することが柱だ。政府は今年3月末までに「工程表」を作成する。


首相は昨年12月26日、山口俊一首相補佐官(地方再生担当)に対し、『2次勧告に沿った工程表にするため、党内をまとめてほしい』と指示した。国道や1級河川の管理で国と都道府県が入り乱れている『二重行政』の都道府県への一本化や、出先機関の統廃合を工程表にそのまま盛り込む決意を示し、党内の反発を押さえ込むことをねらったものだ。


これを受け、山口氏は年明けから、自民党地方分権改革推進特命委員会の逢沢一郎委員長と非公式の協議を始めた。地方分権では、国から地方自治体への権限移譲を盛り込んだ分権委の第1次勧告が昨年5月に提出されたが、福田政権下で策定された政府の地方分権改革推進要綱は、農地転用の許可権限の委譲が、農水省や自民党の族議員の抵抗で玉虫色にされた経緯がある。


麻生首相は、就任直後の昨年9月の所信表明演説で『国の出先機関の多くには二重行政の無駄がある』と述べ、地方分権改革を重要課題に位置づけている。一方、自民党では国土交通や農水の関係議員がすでに2次勧告に厳しく反発しているほか、党内には『麻生首相は支持率低下などで求心力が弱まっており、分権委はすでに後ろ盾を失っている』(党関係者)とみる向きもある。今後も族議員らの反発は不可避とみられ、首相の思惑通りに党内の抵抗勢力を封じこむことができるかどうかは不透明だ」