(21世紀版「ニューディール政策」)「4つのK」 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(21世紀版「ニューディール政策」)「4つのK」

毎日新聞社説がいう「日本版『緑のニューディール』を」「環境の先導で成長を図れ」は、21世紀版「ニューディール政策」「ニューディール連合」の柱の1つである。(下記、社説参照)


福田前総理が昨年6月9日に提唱した「低炭素社会・日本」は、2050年までに温暖化ガスの排出量を60-80%削減を政府の長期目標とするものであり、まさに革命的なものであり、日本の産業構造・社会構造の抜本的改革なくして、低炭素社会実現は不可能なのである。


低炭素革命という新しい旗の下に、民意の再編成と再結集が不可避なのである。21世紀の産業革命の柱となる太陽光発電と、次世代自動車は、政府資金の投入だけではなく、民意の積極的な協力なくして飛躍的な普及ができないからである。


一方、低炭素革命による低炭素社会の主役は地方になるのである。農業と林業がC02削減の主役となるからである。食料自給率を高めることがCO2削減となり、林業の振興がCO2の吸収源を増やすことになる。低炭素革命とは、必然的に農業改革を生じ、農業への企業参加とそれに伴う大量雇用を生みだすのである。


21世紀版「ニューディール政策」「ニューディール連合」の旗には、「環境・コミュニケーション・介護・教育」の「4つのK」が含まれていなければならない。(1月2日記)



(参照記事)毎日新聞社説「09年チェンジ」「日本版『緑のニューディール』を」「環境の先導で成長を図れ」


「年は明けたが、世界不況のまっただなかである。年賀を言うのもはばかれるような、厳しい正月だ。問題は経済だ。単刀直入に言って、ここは政府の出番である。


民間調査機関の予測を平均すると、2年連続でマイナス1%成長だという。戦後の不況で最もきついものとなる。日本は500兆円経済だから、つまりは2年で10兆円の経済縮小だ。赤字国債の累増は問題だが、いま政府が出なければ不況の深化は避けられず、財政再建にも悪影響をおよぼす。必要な財政出動をためらってはならない。問題は何が『必要』なのかということだ。旧来型の公共事業に予算をばらまくのでは知的怠慢だ。


これから重要の増加が見込める成長分野に集中投資すべきなのは当然だ。高齢社会に対応した医療、介護、高齢者ケア、そして教育である。実際、米国で雇用が増加しているのはこうした分野だ。だが、今後数十年にわたる『国のかたち』を考えれば、環境投資の比重が限りなく重い。


時代は大きく転換しようとしている。米国発の世界不況が明らかにしたのは、実は資源・エネルギーの大量消費を前提とする成長モデルの破綻である。世界はそれに代わる新しい成長モデルを求めている。


米国のオバマ次期大統領は環境投資をパッケージにした『グリーン・ニューディール』をオバマノミクス(オバマ大統領の経済対策)の柱のひとつとする考えという。大恐慌からの脱却をめざしてフランクリン・リーズベルト大統領が打ち出したニューディール政策の環境版である。10年で中東石油への依存を断ち切るために総額1500億ドルを投資、再生可能エネルギーの開発・普及を推進する。これによって500万人の新規雇用を見込むという。


李明博韓国大統領もまた『グリーン・グロース(環境成長)』戦略を打ち出した。エネルギー効率を飛躍的に高めることで、持続的な成長を確保する。李大統領は『グリーン成長はその道を歩むか歩まないかの問題ではなく、必ず進むべき道である』とその時代的意味を語っている。


私たち日本もまた、日本版の『緑のニューディール』に踏み出すべきだと考える。それも、各国を上回る大胆さで。政府資金を環境に集中投資して需要不足を穴埋めし、中長期的に環境産業と環境技術が日本の成長を先導する経済・社会システムをめざすべきだ。


簡単な話ではないが、李大統領が言うように、そうせざるをえないのである。気候変動対策に必要なのはいうまでもない。しかし、燃費世界一の日本の自動車産業が世界を座巻したように、『グリーン化』の度合いが競争力に直結し、繁栄と安定を決定する時代になったからでもある。


石油など化石燃料に依存する成長は長期的に持続不可能だ。化石燃料の消費と経済成長をできるだけ切り離す必要がある。ここでは、実用段階の太陽光発電と次世代自動車を飛躍的に普及させることを提案しておきたい。政府は太陽光発電世界一の座をドイツから奪還するため、設置補助を再開したが、物足りない。この際、2兆円の定額給付金を中止しそれを太陽光発電に回したらどうか。学校には全国くまなく設置しよう。


太陽光発電の余剰電力を現状より高く電力会社が買い取り、10年程度でモトがとれる制度にしたい。電力会社は電力の安定供給のために新たな負担が生じるが、国が一定期間、一定額を補助してもよい。自動車はすべての公用車をハイブリッドや電気自動車に置き換える。電気自動車の充電施設を全国に設置する必要もあるだろう。


環境省の分析では排ガス規制で自動車メーカーには『費用』が発生したが、それは排ガス機器メーカーの「需要」であり経済全体への悪影響はなく、日本車の競争力強化をもたらしたと結論している。環境投資を軸とする経済成長は可能なのであり、その図柄をどう描くのかの国際競争が始まっている。


いま、世界の目は米国のオバマ次期大統領が、20日の就任式で何をいうかに向けられている。『われわれは米国を変えることができる』という力強いメッセージで当選した若い黒人大統領。ワシントンはすさまじい熱気という。80兆円規模ともいわれるオバマ次期大統領の空前の景気刺激策で、米国と世界が不況脱出のきっかけをつかめるか予断を許さない。しかし、そのリーダーシップは強烈な磁場で米国人を引き付け、潜在力を引き出そうとしている。


日本には資金もあれば知恵もある。しかし、政治が明快なビジョンと強いリーダーシップを欠いている。念頭に当たって、改めて早期に衆院を解散し総選挙を行うよう求めたい。新たな民意を得た政権が、日本版『緑のニューディール』に丈高く取り組むことを切望する」