(新しい旗)「正しいコース」と「新しい旗」 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(新しい旗)「正しいコース」と「新しい旗」

臨時国会が25日に会期末を迎えた。(下記記事参照)


民意はこの臨時国会にいかなる評価をしたかである。


直近の新報道2001の18日調査で、「景気悪化の影響を受け、雇用関係が悪化しています。景気回復や雇用の安定に対してあなたは、今の政治に期待しますか」との設問の回答、YES16・8%、NO79・8%が、民意の臨時国会への評価である。


今の政治に期待できないが8割を占めている。


当然、この政治とは、与野党の政治のことである。


受け皿となるべき民主党にも、その抜本的な景気対策が期待できないとの失望感が各種世論調査にみられる。

民主党は必ずしも、今国会の「勝者」たりえなかった。


新報道2001の次期衆院選での投票先で、確かに、民主党は自民党にダブルスコア差をつけてはいるが、投票先未定が5割もある。この意味は、政党支持層なしの無党派層が民主党に投ずることを保留していることを示している。この無党派層が、民主党に投じたら、大勢が決するのであるが、与党は徳俵で、辛うじて一歩踏みとどまっているのである。


与党がこの窮地を脱し、次期衆院選で、政権選択の是非を問う勝負に土俵中央まで寄り戻すには、自民党内に「新しい旗」を立てることが緊要なのである。


失われた10年を脱却させた小泉政権の「正しいコース」ではなく、小泉政権以前の「失われた10年」に回帰する「逆コース」を歩むのではないか、との不信感を払しょくしなければならない。


だから、投票先未定の5割の人が動くアジェンダを、「正しいコース」の延長線上に設定すべきなのである。それが自民党内に「新しい旗」を立てるの意味である。


今朝の読売新聞にこんな記事があった。


「首相は小泉内閣で党政調会長、総務相を務めた。小泉さんは首相を小泉学校の卒業生だと思い、支持してくれている。首相は改革派の看板を簡単に捨てられない」(首相周辺)


「麻生首相25日、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策に関し、自衛隊法の海上警備行動発令による海上自衛隊艦船派遣の検討作業を加速させる方針を固めた」


これが「正しいコース」である。「正しいコース」を進む政権は支えなければならない。そのことと、「新しい旗」を掲げることは何の矛盾もない。(12月26日記)



(参照記事)朝日新聞「臨時国会顧みて―担当4記者」「幻の解散揺れた与野党」「審議より駆け引き先行」「党首会談後は野党ペース」


「9月24日の麻生内閣発足とともにスタートした臨時国会が25日に会期末を迎えた。衆院解散・総選挙はあるのか、ないのかに与野党双方が振り回された3カ月を、衆参両院の与野党国会対策担当記者4人が振り返った。


園田(衆院自民党国対担当)『この国会はズバリ、麻生首相が解散するかしないかで揺れた政局だった。当初、首相の早期解散への意気込みは強く、周辺に<野党に転落してでも……>と言っていたくらいだ。<直近の民意>を手に入れることが使命だと思っていたフシもある。だから、この国会は<存在し得なかったのに存在してしまった国会>とも言える。解散先送り意向は、与党側の準備不足が露呈した感じがした』。


本田(衆院民主党国対担当)『民主党も<秋に総選挙>と思い込んでいた。だから、昨年あれだけ議論した補給支援特措法改正案の衆院での採決には早々と応じたし、後期高齢者医療制度の対策費も含んでいた1次補正予算にも賛成。懸案を次々と処理して、国会を開いている意味を失わせる作戦だった』。


関根(参院自民党国対担当)『その作戦は、1次補正と改正補給支援特措法の採決を引き延ばせば、<民主党は政局優先>との反発を招くと恐れていたこともあったんでしょう。でも、それがかえって衆院選の争点を首相から奪い、より解散できない方向に後押しした』。


園田『民主党のある幹部は自民党幹部に<(解散があることを)信じてますから>と(笑)。結局、解散が先送りされたのは、金融危機への対応と言うより党の情勢調査結果が芳しくなかったことが大きいという印象だ』。


藤田(参院民主党国対担当)『民主党にも問題はあったよ。解散に対する首相の判断の揺れには、民主党も早期解散を焦るばかりに戸惑い、野党多数の参院でも腰をすえた審議になかなか取り組めなかった。解散をめぐる駆け引きにうつつを抜かし、田母神俊雄・前航空幕僚長の文民統制の問題でも追及が甘いまま、改正補給支援特措法は成立してしまった。


たしかに、政権交代を掲げる民主党が、補給支援よりも生活関連など国民に身近なテーマで自公政権を追い込む姿をアピールしたいのはわかる。だけど、この特措法は憲法との関係が常に問われる自衛隊海外派遣の根拠法だ。その根幹となる文民統制に疑念が生じたなら、採決前に政府を徹底追及するのが野党第1党の役割だったはず』。


本田『とにかく、解散見送りで民主党の目算は狂った。1次補正などの審議を手早く進めたツケで、民主党は攻め口を失いそうだった。ただ、その後の首相の漢字読み間違いや失言、2次補正を出さないという<敵失>で終盤は何とか<結果オーライ>に持ち込めたとも言えるけど』。


藤田『首相が<村山首相談話を踏襲する>を<ふしゅう>と発言したのを記事にしたのは、戦争責任についての重みのあるはずの答弁だったから。首相は外相時代から<ふしゅう>と言っていたし、首相になって恥をかくまでだれも注意しなかったのは寂しい限り。誤読を本人に確認しないまま、国会の会議録に<踏襲>と記載されるのも、どうなのかな』。


園田『解散見送りがはっきりした後は、与野党のどちらも疲れちゃった。<会期延長はせず、もう国会は閉じようよ>という奇妙な協調ムードが出てきたね。その潮目が変わったのが11月17日、小沢代表が提案した麻生首相との党首会談だ』。


本田『たしかに、気抜けムードを打開したのは小沢氏。首相が10月30日に2次補正予算案が前提の経済対策を発表しておきながら、今国会には提出せず、かといって解散もしないという矛盾点を突く徹底抗戦に転じた』。


園田『小沢氏からの党首会談申し入れに、自民党執行部は<解散がなくなり、小沢が焦っている証拠だ>と高をくくっていた。首相も軽く<受けていいんじゃねえか>と。党首会談がその後の国会運営にどれだけのインパクトを与え得るかを分析した形跡はない。この会談を境に首相は迷走発言を連発、国会は野党ペースになっていく。完全に与党の戦略ミスだね』。


本田『小沢氏は党首会談でも党首討論でも<解散しなければ2次補正を提出せよ>と麻生首相に迫り、景気が悪化しているのに2次補正を出そうとしない首相、と印象付けた効果は大きかった』。


藤田『一方で、与党と合意していた参院での補給支援特措法の採決日程を、民主党は小沢氏の判断でほごにしてしまった。来年の通常国会に向け、与党がより強硬姿勢を取る、という悪循環も生んだよ』。


関根『民主党の国会対策は<本店の意向>でよくひっくり返ってしまう。興石東・参院議員会長は、小沢代表の下の代表代行という立場だし、簗瀬進・参院国対委員長も、山岡賢次・国対委員長に次ぐ国対委員長代理。まるで<本店>と<支店>みたいだ』。