大手企業を卒業し、代表取締役社長としての生活がスタートして3日経ちました。手伝ってくれる仲間へのインタビュー、名刺の手配、社会保険の手続き等、慣れない仕事ですけど、非日常的で楽しいです。

起業すると決めた時、自分にとって率直な意見を言ってくれそうな友人・知人・先輩・後輩をランダムにピックアップして、100人リストを作りました。僕はマーケターなので、せっかくの機会に、自身の「大手企業を辞めて起業する!」という選択を題材に社会実験をやってみた感じです。

数ヶ月かけて徐々に暴露していったのですが、ほとんどの人から大分驚かれましたし、結構センセーショナルなニュースだったと思います。43歳という年齢や、大手企業の海外駐在員という立場もありましたからね。

周りからの反応は、「賛成」、「反対」、「どちらとも言えない(ノーコメント)」の3つに大きく分けられます。思いつきレベルの段階で相談してしまった人も、起業のアイデアがある程度固まった段階で報告した人もいて、タイミングによって当然反応も違ってきますので、厳密には同条件での回答ではありません。

先ず、賛成票の多くは「僕が起業家に向いてる」「ナカジらしい選択だと思う」「何かやれそうな気がする」という感じのご意見でした。これからも応援してるぞーという気持ちの伝わる、応援絵文字が沢山入ったメールをくださった方、超拡大フォントで「祝」という文字だけを送って来てくれた人とかもいて、とても有り難く、前に踏み出す大きな勇気をもらいました。

反対票は傾向が2つに分かれました。一つは「もったいない」という意見で僕の個人としてのキャリアを案じてくれるものでした。ここまで大手企業の中で頑張ってきて、居場所も確立して、これから益々偉くなってA社を引っ張っていく人材だっただろうにもったいない、そんな感じでした。僕もそう思います…。だから何年も足踏みしてきたわけですから。そういう想いは振り返れば30代の後半には既に芽生えていたわけですので。

もう一つの反対票は、そんなに多くはなかったけど「大きな組織を飛び出して何が出来るのさ?」というもの。直接いう人もいれば、ニュアンスで自然と伝わってきた人もいましたが、「起業という言葉は響きがいいけど、要は中小企業だろ?」という感じです。

企業は大きければ大きいほど良いという訳でもないと思います。特に今の日本では社会課題にもなっているし。でも、確かに世の中全体に大きく広がってゆく価値を生み出して行く仕事は、資金面や人材面である程度の規模がないと価値がない(価値が見えない)かもしれません。だからこそのチャレンジです。こういう意見をくれた人は「いつか見てろよ!」と負けず嫌いの僕が奮起するのを最初から分かって、敢えてキツイ意見を言ったと信じよう 笑。誰になんと言われようと、僕は僕なりの社会実験を続けます。

ノーコメント票の多くは、突然突拍子も無い事を言われてうまく考えられていないようでした。何か言ってあげたいけどうまく言えないという感じで、実はこのタイプが一番多かった。「自分だったらそういう選択はしないけと、人の人生に責任は持てないし、でもこれからも幸せに生きて欲しいし…、寂しいし…」みたいな感じ。本当にその節は迷惑な質問をしてすみませんでした!これからも仲良くしてください 笑。

親父からは「まあ家族を路頭に迷わせないように、自分達で決めてやってけ。」というコメントをもらいました。言い出したら止まらない性格なのをよく分かってる父上、情に厚くいつも受け止めてくれる。これからも人生のロールモデルです。

ちなみに、賛成票・反対票・ノーコメント票の割合は、3割・3割・4割(当社推定)でした。という事は、人の意見を聞いてから何かを決めるのは無理という事ですね。賛成という形で応援してくれるにしろ、反対という形で心配してくれるにしろ、この一連のやり取りの中で、皆さんの暖かい気持ちがよく分かりました。だからこそ、起業に対する想いと仮説(こうすればうまくやれるはず)を信じて、自分を信じて前に進むしかありません。

勇気ある決断、覚悟を持った判断、大胆な行動、特に後輩達からはそう見えるかもしれないけど、その決断をしなかった世界(もしもボックスの世界)は絶対に見ることができません。いつだって、やらなかった現実というのは見えない。誰でも、いつでも、自分が細かく決断して生きているわけで、勇気!覚悟!なんて必要以上に身構える必要はないのかもしれないよ。

大きな判断をするのにちょっとした勇気を振り絞る時はあるけど、清水の舞台から飛び降りるほど緊張しないで、救命胴衣をつけて江ノ島の海に飛び込むぐらいでもいいじゃない。そんなに頑張って何かと闘わなくたって。

人生は主人公俺、演出俺、監督俺、観客も俺の劇場なのだから、生きている事だけで社会の大事な構成要因になっているのだから、「なるようになる」と思って、セレンディピティ(偶有性)を楽しんでゆけば良い。僕は今、そんな風に感じでいます。

うまく行くか行かないかは乞うご期待 笑。これから20年かけて描く社会実験の様子をたまに覗きに来て頂けたら嬉しいです!

※妻がアレンジしてくれた親族旅行にて、中島丸出航しまーす 笑