オンラインで『映画大好きポンポさん』(2021)を観たのはだいぶ前になるが、映画好きの友人に昨日この映画を薦めた際、ブログにも書かなければと思いたった。絵柄も話の設定も大分現実離れしているので、初めは半信半疑だったが内容はごく真面目で、展開的には上手く行き過ぎの感はあるけれど、アニメなので許せる。原作漫画は杉谷庄吾【人間プラモ】 の『映画大好きポンポさん』(MFCジーンピクシブシリーズ/KADOKAWA刊)で平尾隆之監督。不二家のペコちゃんみたいなポンポさんが映画プロデューサーなのに「少女」という点が引っ掛かるけれど、漫画家山田玲司曰く*「ポンポさんは映画の女神のような存在でリアルに考える必要はない」とか。それなら納得できる。また、音楽家などで天才少年少女と呼ばれる人々は得てして親や家族がプロで英才教育を受けた場合が多いことを考えると、映画のプロデューサーでこの種の天才がいてもおかしくはない。さてストーリーは…

 

 ジョエル・ディビッドヴィッチ・ポンポネット (通称 ポンポさん) は、世界の映画製作の都「にゃにウッド」の才能と勇気のあるプロデューサー。 彼女はB級映画で知られるが、ある日、映画好きだが不安を抱えているアシスタントのジーンに、プロデューサーとして彼女が書いた脚本の監督を任せる、と告げる。マーロン・ブロンドのような伝説的俳優マーティン・ブラドック主演で、年老いて苦悩するクリエイティブな天才音楽家を描いた繊細なドラマだ。 そして初ブレイクを目指す若手女優ナタリーを抜擢。 制作が混乱に向かう中、ジーンはポンポの挑戦に立ち向かい、初監督として成功することができるだろうか?(IMDbより翻訳)
 

 所々に鋭い台詞が心に刺さる。ポンポさんがジーンをアシスタントにしたのは、彼の「目に光がなかったから。」青春を謳歌してきたような他の候補者と違いジーンは見るからに不幸そうだった、「幸福は想像の敵」と言い切る。この言葉には一理あると思う。それに、この映画には邪悪な人が居なくて、皆映画に対して熱い思いを持つ人ばかり。夢物語ではあるけれど、観ていて幸せな気持ちにさせてくれる。逃避(procrastination)として仕事に追われるギスギスした日々から完全に抜け出すには丁度いい90分。でも、映画館でもう一度観てみたい。ロンドンにも来てくれないかしら? 

 

コロナ禍でこんな希望に溢れた映画が公開されていたとは!

*この動画で『…ポンポさん』に興味を持った(ネタバレあり)。