米国の優れた児童文学に送られるニューベリー賞を「Hatchet」という作品で受賞した、Gary Paulsen。彼の代表作は「Hatchet」ということになるが、彼は多作な作家でいろいろなタイプの本を書いている。現在私は、「Alida Series」とされる3冊に挑戦している。小学校高学年以上のレベルの本だ。3冊のうち2冊を読み終わった。ざっくりいうと、主人公の少年と愛情深い祖母との絆を描いた作品である。3冊を貫くのは、背後に見える戦争の影である。

 

 主人公の両親は、うまくいっていない。それは、父親が軍隊の仕事をしていて、離れて住んでいることに起因する。主人公の母親は不倫をしたり、アルコール依存症になっている。大人が戦争の影響で健全な生活を送れず、子供を大切に育てることもできなくなっていることが読み取れる。

 


 

 第1巻の「The Cookcamp」は、主人公が5歳で、第2次世界大戦中。第2巻の「Alida'S Song」は主人公は14歳で、米国が朝鮮戦争をしていた時期。そして、第3巻の「The Quilt」は、主人公が6歳の時期に戻る。大人の男性はすべて戦争に行っていて、その後を守った女性たちや主人公のお話し(未読)だそうだ。

 

 第2巻の「Alida's Song」では、主人公は落第すれすれの成績で自尊心も持ててなかった。大人も子供も戦争の影響で心が荒れていて、主人公は、このままだったらグレてしまったかもしれない。そんな時、祖母から、「よいアルバイトを紹介するから夏休みの間一緒に暮らさないか」と手紙が来る。体を使う労働の前後には、賄いをする祖母のおいしい食事をとり、夕食の後は音楽を楽しむーそんな普通だけど豊かな生活を体験する。主人公はノルウェー移民である祖母の人生を知ると同時に自尊心を取り戻すのだった。

 

 第1巻の「The Cookcamp」はP130, 第2巻の「Alida's Song」はP106、第3巻の「The Quilt」は p96―3冊ともに

コンパクトでお薦めである。

 

お薦め度ー★★★★★

レベルーL4