私立探偵Natは、事務所の近くのバーで飲んでいると豪華な装いをした見慣れない女性が目に入った。その女性が気になり、店を出た後尾行するが、見失ってしまう。翌日、その女性がNatの事務所を訪ねてくる。「夫から離婚を迫られている。今までにもらった贈り物のうち高価なものは、夫に返す約束をしていた。しかし、贈り物はすでに売り払ってしまい手元にない。どうしたらよいか」という相談だった。

 社会的な地位もお金も持っていそうな女性が、無名の私立探偵である自分を訪ねてくる理由は、なにかトラブルが背後にあるのだろう、とNatは思った。そして、ある上場企業の経営上のトラブルと関係があることを突き止める。

 事件の全体像がつかめず、引き込まれて読んだ、というよりは、「ページが進まないなぁ」という感じで読み進めた。そんな中にも、Nat と、秘書のStellaが協力して、謎の黒幕に立ち向かう様が楽しめた。今回は、事務所の入っているビルの受付嬢のGloriaも証言をして、Natを助ける。女性の活躍が、この私立探偵Nat Murleyシリーズの魅力の1つだ。

 2度目の聞き読みをしているが、事件の全体像がわかってからの再読なので、1度目に気づかなかったことに気づいたり、楽しく読めている。