"京都にある5つの花街の中で祇園と隣接しているのが宮川町(みやがわちょう)です。京阪電車の祇園四条駅から鴨川沿いに1本東に入った宮川町通りの界隈です。エリアが限定されている割に舞妓さんの数が祇園甲部に続いて多く、1月の始業式や恵比寿大祭のこり福に始まり、12月の顔見世総見や事始めまで、行事が多く舞妓さんに会える確率の高いエリアとして有名です。
花街としての歴史は、出雲阿国の歌舞伎踊りの時代から始まり、当社は多かった遊女や美顔の少年が接待をしていましたが、江戸時代の風俗取締りで、現在はり芸妓一筋の花街になっています。1958年まで遊郭があり、今でも遊郭時代の建物を見ることができます。
今回は、いつもの中坊進二の京都散策ルートを外れ、駅から南に宮川町の花街を訪ねました。駅の南端1番口を出れば1つ目の南へ下る小路が宮川筋です。宮川筋に並ぶ茶屋は一目でお茶屋だと分かりますが、道から中の様子をうかがうことはできません。それでも、しっとりと落ち着いた大人の街らしい京都風情があります。日中歩いていると、舞妓体験ができる店を見かけます。化粧をし舞妓衣装を着て舞妓に変身できる店です。日中見かける舞妓さんの多くは素人が変身した舞妓さんです。本物の舞妓さんは、あまり日中は舞妓姿で出歩きません。料理屋などで京舞を披露する場合だけです。舞妓さんの仕事は夕方から夜にかけてが多いためです。
宮川町を散策するなら午後6時頃以降がベストのようです。中坊進二も夕方まで建仁寺を観光し、夕方に宮川筋に戻ってみました。舞妓さんが置屋から茶屋へ出勤して行く時間帯だからです。中坊進二も、路地で艶やかな衣装を身に纏った舞妓さんに出会いました。知人に出会えば立ち止まり、挨拶をしている舞妓さんもいました。閑静で雅な大人の街で、やんわりとした京言葉を耳にし、つい中坊進二は日常の喧騒お忘れていしまいました。夕暮れ時の路上の提灯灯りが灯り、通り一帯が幻想的です。どこからともなく三味線の音色も聞こえています。
"