次の日曜日 6月30日

21時からのEテレ 「古典芸能への招待」は

十一代目豊竹若太夫襲名披露狂言

『和田合戦女舞鶴』市若初陣の段 

を中心に放送されるそうです


古典芸能への招待のHP


6月7日に「芸能きわみ堂」は

十一代目豊竹若太夫襲名のダイジェスト版のような放送でしたが

今回は 21:00から 23:30までの 2時間半

たっぷり放送されます



4月の襲名披露公演は

『口上』と『市若初陣の段』を合わせて 1時間32分

加えて 絵本太功記 尼ヶ崎の段も放送されるそうです

高木秀樹さんの副音声解説付きらしいですが

字幕スーパーもあると良いのだけれど


若太夫襲名披露『口上』のブログ


市若初陣の段は

市若丸という前髪の10歳の武士の子供が 

初陣で 切腹するというお話し

自害する理由は 

実は市若は 犯罪者の子供で その父の汚名を注ぐために 自害する

でも真実は 実母板額(はんがく)の一人芝居で 我が子を犯罪者の息子と思い込ませて 切腹させた

市若の首を 主君の身代わりに差し出すために 一人芝居をした


武士は 親子の絆より 主君への忠誠が重要視された時代

主君のために命を落とすことは名誉なこと

だから我が子の命より お家の安泰の方が重要

お家安泰のために 自害する とか 我が子の命を差し出すことは名誉なこと


以上のことが理解出来てないと とんでもない残酷なお話になるんだけど


作者は並木宗助

三大狂言を共作した1人です

『菅原伝授手習鑑 寺子屋』と良く似たストーリーですが 大きな違いは 

市若は 武士らしく自害切腹する

小太郎より年齢は大きく 数えの11歳

自害するきっかけは 

不名誉な父を持ったための無念の自害でしたが

実母板額から 息を引き取る前に真実を明かされて

〝名誉の死〟〝尊厳死〟 になるという

お話しです



文楽ファンの方

文楽は見たこともないという方

是非 一度この放送を見て下さい

テレビ放送なので 劇場の臨場感は伝わりにくいけれど 文楽の素晴らしさ 

若太夫と三味線清介の凄さ

板額を遣う桐竹勘十郎の上手さ 

書き出したらキリがないけれど

一見の価値ありです




余談

『和田合戦女舞鶴』を 歌舞伎データベースで調べると

市若初陣の段は

板額が主人公になるのでしょうが

1988年に澤村宗十郎が

1965年に中村歌右衛門が

演じている


歌舞伎データベース『和田合戦女舞鶴』


この演目 

来年に襲名披露興行がある

現・尾上菊之助と丑之助親子が 復活狂言として 演じてくれたらなあ

菊之助親子にピッタリの演目だと 私は勝手に思っているのです

丑之助君と市若丸は 同年代 

市若の台詞が多いし凄く重要

板額の強さと情が 菊之助にピッタリあう と 思っているのです