ブロ友のふうせんさんが 2度にわたり 2月の歌舞伎座猿若祭『籠釣瓶花街酔醒』の勘九郎と七之助を絶賛していたので 歌舞伎オンデマンド ミレールで見てみました







私は 演目や観劇スタイルがコロナ禍前に戻った松竹が 今だにミレールで配信サービスをしてるとは知りませんでしたよ

また 『籠釣瓶花街酔醒』は 一度も見たことがないので 配信が終わる前に気がついて良かったです



一度見た感想は

〝すくいようのないドラマ〟 だと思いました



初め チョンパッと明るくなると 吉原中之町の景色

大きな桜の木が何本もあり 

歌舞伎座の舞台の大きさピッタリの大きな景色

悪徳な客引きに引っかかった 絹商人の次郎左衛門(勘九郎)と下男治六(橋之助)


3人の花魁の道中

3番目に登場の八ツ橋(七之助)は 俎板帯に八つ橋の刺繍 肩に伸びる蝶のような帯?

花道のところまできて 振り返って 次郎左衛門に微笑みを返す

魂を射抜かれた次郎左衛門 顔はあばただらけ 

疱瘡の痕なんでしょうね

花魁のあの思わせぶりな微笑みは、なんなんでしょう

田舎商人をもてあそんだのか?

会話も交わしていないから あばただらけの次郎左衛門に一目惚れすることはないと思う


それから佐野の絹商人は 江戸へ来るたび 身なりを正して 八ツ橋一途にお大尽遊び それも上品に大人しく 金使いも綺麗 身請けの話も進んでいるところ


八ツ橋の間夫の繁山栄之丞(仁左衛門)に 釣鐘権八(松緑)がチクる そそのかす

権八は あこぎで性悪男

繁山は八ツ橋に 取り交わした起請文を返せと迫る

このあと 八ツ橋は 次郎左衛門やその友人 廓の皆さんのいる前で 次郎左衛門に、愛想つかし の 悪態をつく


今まで優しかった花魁の突然の愛想つかし

涙ながらに訴えるが 間夫繁山の影を知り 自分の気持ちを抑えて帰る次郎左衛門 



4ヶ月の後 立花屋の2階に現れる次郎左衛門 手には掛け軸の長い箱を持っている

八ツ橋を呼んで また1から始めようと

人払いをしたあと サッと足袋を脱ぎ 床の間に置いた掛け軸の箱から 名刀・籠釣瓶を取り出し 八ツ橋の背中を刈る 

ゆっくりとのけぞって 生き絶える八ツ橋

蝋燭を持って上がってきた中居も斬る


刀をダラリと下げて 悪い顔つきで哀れな目つきで八ツ橋を見つめる次郎左衛門




江戸時代に実際に廓であった大事件をもとにして書かれた狂言らしい


4ヶ月後に吉原に来た時は すでに籠釣瓶を用意して八ツ橋を殺害しようと決めていたのだから 

私は 次郎左衛門も籠釣瓶で自害して 八ツ橋に重なるように死ぬのか と 思いましたよ

いわゆる無理心中

そうなると自分的には 納得はいくのだけれど


でも そういう場面は無し


次郎左衛門が八ツ橋に殺意を抱いたのは 恐らく愛想つかしをされて兵庫屋の座敷を出て行く前

みんなの前で恥をかかされた腹いせの復讐

そうなると 間夫の繁山栄之丞も殺したいでしょう

だから悪い怖い顔で 幕となったのか?


今まで 真面目に仕事も頑張ってきたのでしょう 

心根の優しい次郎左衛門が 殺人鬼になったところで 幕 とは


やはり救いようのないドラマでした



余談になるが

江戸時代の花街吉原にタイムスリップしたような歌舞伎

立花屋は 待合茶屋で 兵庫屋は 廓

こうやって花魁を呼び 会って その後廓で遊ぶ 

廓遊びのシステムが ちょっと分かった気がする