17日 日曜日朝から 京都南座に行ってきました


大阪天満橋駅から 京阪特急で40分〜47分で着くし

祇園四条駅上がった所が南座なのでほんとに便利




南座 三月花形歌舞伎


三月花形歌舞伎





近松門左衛門歿後300年の記念公演として

桜プログラムには『女殺油地獄』が

松プログラムには 『心中天網島』河庄 が上演される

ということで2つとも 義太夫狂言です



11時開演

桜プログラム

手引き口上は 右近君


町人の格好の右近君 観客席通路後方から登場

客席通路を小走りに走ってお客さんとタッチ

私は 上手通路沿いに座っていたので 右近君と互いに手のひらタッチ

右近君の香りが 私の左手に付いて 

そこはかとなく幸せ気分


ミナミーナを呼んで撮影タイム






右近君は 今日は片岡千次郎さんの誕生日だと強調されていました

だから 女殺油地獄 で 千次郎さんが 河内屋与兵衛の兄役で 舞台に登場した時は いつにも増して凄い拍手が起こりました




『女殺油地獄』

河内屋与兵衛と言えば 片岡仁左衛門

仁左衛門の生の舞台は見たことはないが DVDで何度も見た

仁左衛門は平成21年6月(15年前)歌舞伎座で一世一代公演をして 封印したお役

今回は 仁左衛門監修で 中村隼人が河内屋与兵衛

殺されるお吉が 壱太郎

お吉の夫・豊嶋屋七左衛門が右近


最初は 菜の花が咲く春うららの野崎参りの徳庵堤の

明るい場面から始まり 

日にちは違うが 次は夕暮れ近くの河内屋内の場

最後は 夜遅くなった豊嶋屋油店 暗い舞台で凄惨な殺しを目撃する



油屋の河内屋の次男で 怖がりだけど格好つけの半グレの不良息子(青年)が与兵衛

与兵衛の継父徳兵衛を嵐橘三郎 実母おさわを吉弥 妹おかちは 大きくなった千太郎


夕暮れの河内屋 勘当した与兵衛の後ろ姿を見送る2人の親の心境

豊嶋屋で2人の親が語る子・与兵衛への愛情(親心) 夫婦の義理立て こんな所が 子を持つ親の自分にはグッとくる

「子は親の慈悲で立ち、親は我が子の孝で立つ」


豊嶋屋の場 

白い手拭いで頬被りをして 2升の油桶をぶらぶら下げて花道からの出  仁左衛門さんかと見間違うくらいの隼人君でした 

(2人とも細身で背が高くて男前でしょう)


壱太郎と隼人は 油でドロドロ


仁左衛門さんの心が乗り移った隼人に 懸命な壱太郎

支える上方歌舞伎役者たち

素晴らしい歌舞伎でした



『忍夜恋曲者 将門』

しのびよるこいはくせもの


初めて見る演目ですが 確か 猿之助さんの通し狂言であったような?


舞台には 死んだ将門が以前使っていた古御所

上手に常磐津連中


花道スッポンから銀の針金の先に銀色の丸い玉をつけた水気という小道具がジャラジャラ出てきて スーッと引っ込む 水泡 水煙を表現したのか?

ゲロゲロ カエルの鳴き声とともに 蛇目傘を持った傾城がスッポンからスモークに包まれながら登場

傾城如月実は将門の娘の滝夜叉姫(壱太郎)

堂々とした傾城です

足元には 蝦蟇(ガマガエル)がいる



古御所の御簾の中にいるのが光圀

光圀役は 

午前の桜プログラムは 右近

午後の松プログラムは 隼人


桜プロと松プロでは 如月の衣裳も違う 演出も違う

上演時間も違う


午後の松プロでは 

面灯り(宙に浮かんだ2つの蝋燭)は 如月がスッポンから登場した時に使われた

最後は 屋体崩しの古御所の屋根の上に大蝦蟇を従えた滝夜叉姫で幕となった


午前の桜プロでは 

面灯りは 如月の登場の時には使われず 

最後に幕外で 蝋燭の灯りに照らされながら滝夜叉姫が宙を浮くように 花道を堂々と去っていく時に使われた





上演時間は

午前の桜プロの 壱太郎vs右近は 50分

午後の松プロの 壱太郎vs隼人は 45分


5分長い 桜プロは 滝夜叉姫が妖術で操る大蝦蟇が 立廻りで滝夜叉姫の替わりに大活躍したし 幕外の滝夜叉姫の引込みも素晴らしかった




玩辞楼十二曲の内 

『河庄』


近松門左衛門の『心中天網島』の最初の段が 河庄の段

歌舞伎『河庄』の主役は 紙屋治兵衛

この役を代々の鴈治郎以外が演じたことはないはず

今回この役を 音羽屋の尾上右近が演じる

先月の『曽根崎心中』の徳兵衛に続く 大抜擢!

というか 成駒家のお家芸の門戸開放!

それに応える右近君の熱演でした


両袖を抜いて着物の中で腕組みして 白い手拭いで頬被りをして 夢遊病者のように ゆっくり そーっと花道を出てくる

遊女小春との心中を決意するに至っているが まだ気もそぞろ という感じ

七三で おこついて 右足の雪駄が脱げる 

振り返った右近 男前❗️



紙屋治兵衛(紙治)の兄の粉屋孫右衛門を隼人

心変わりをした小春(壱太郎)を 痛めつけようとする紙治を制する孫右衛門

この2人は 歳の離れた兄弟であって欲しいが

隼人と右近では アドリブを含めて 同年代の漫才コンビみたいに見えて面白かった

(押さえる所は押さえて 遊べるところで遊んで オッケー 少しウケ狙いぽくなったのは残念だが)




雑感


歌舞伎しか見ないと『河庄』から どう心中に繋がるか分からないでしょう

近松門左衛門作 文楽『心中天網島』や 

歌舞伎『河庄』については 以前に書いたブログを今度整理してみよう



どんな役も器用にこなしファンの多い右近君

大抜擢の紙治役もすんなりとやっちゃいました

陰で努力してるんでしょうね 恐らく


仁左衛門さんと同じ舞台に立って 貪欲に仁左衛門の藝を身につけようと勉強熱心な隼人君


成駒家の藝を受け継ぎ 門戸開放を推進する壱太郎君

壱太郎は 将門の傾城如月実は滝夜叉姫を立派に演じた

ことで また大きな役者になった感じ


成長して実力のある花形役者 3人の競演

今回の南座三月花形歌舞伎は

本当に充実していて面白かった

来年の三月花形歌舞伎が楽しみだ







午後の部の口上は 壱太郎でした

この後すぐに 着替えてお化粧変えて 遊女小春で登場した