大阪松竹座での歌舞伎は

今年正月に玉三郎さんの特別舞踊公演がありましたが

歌舞伎本興行としては

2020年の正月以来となりました

長かったよ 

「待ってました!」






昼の部


伊勢音頭恋寝刃

(いせおんどこいのねたば)

油屋

奥庭


何年か前に1度 仁左衛門さんの福岡貢を見たが 

油屋までに色々な場面がどんどん展開した

今回は時間の関係で?

最後の2つの場だけ


でも分かりましたよ


要は阿波の国蜂須賀家の家宝・妖刀青江下坂とその折り紙(鑑定書)を お家転覆を画策する一味に盗まれて取り戻す 

舞台は伊勢古市の遊郭・油屋で本当にあった九人切り殺人事件を題材にしている

登場する遊女は3人

お紺(壱太郎)の恋仲が 主役の福岡貢(幸四郎)

お岸(虎之介)の恋仲が 貢の元上司今田万次郎(孝太郎)

お鹿(鴈治郎の代役の千壽)は 貢に恋している

そこに曲者の中居万野(扇雀)と料理人喜助(隼人)が絡む


幸四郎の貢(みつぐ?だと思っていたがみつぎと言っていた?) 良かったですよ

白塗りの優男


初めに登場した虎之介のお岸

虎之介の女方は記憶にない 初めて見たような

虎之介の遊女は良いですよ

可愛くて目がパッチリで 声も良く

出てきただけでパーっと華やいだ舞台になった


そこへ花道から男役の孝太郎・今田万次郎が登場

お岸と少し会話して去っていく

今田はこの狂言では一番位の上の侍の役だが

さわりの場面しか登場しない 出番の少ない孝太郎


よく考えると孝太郎の今田万次郎の役は本当は秀太郎の役でした

松竹も仁左衛門も 少しでも秀太郎さんに出て欲しかったのでしょうね





千壽のお鹿 (鴈治郎の代役)

お鹿って純粋に貢が好きで 貢に貢いでいると思っていたのに 実は中居万野に騙されてお金も搾取されていたのですね

顔はおどけた超ブサイクなお鹿ですが 千壽のお鹿からは一途さが伝わりました

女方千壽が演じるお鹿は

余計に哀れに思えてよかったです

でも鴈治郎のお鹿も楽しみです



扇雀の万野

中居だけに控えめでした

お金に厚かましい意地汚い中居 

女将に代わって陰で差配しているようにも見えるが

遊女とお客と中居の関係を保っていた

お紺が貢に愛想つかしを言っている時には 舞台の後ろの方で背中を向けていた

後ろを向いたまま 顔だけ横を向けて タバコの煙を貢に吹きかけた

映像で見た玉三郎の万野は もっと前面に出て憎たらしさを演じていたように思ったが



壱太郎のお紺

やはり美しいですね壱太郎は

見とれるよ 

本心とは裏腹に貢に愛想尽かしをする

上手いね 

その甲斐あって 敵役から刀の折り紙の受け取りに成功する

貢とお似合いのカップル



幸四郎の福岡貢

隼人以外は上方歌舞伎役者に囲まれて演りやすかったでしょうね

油屋の場の最後で 貢が持っているのはなまくら刀

万野にそそのかされて 刀の鞘当てをしたら

鞘が割れて結果的に万野を斬ってしまう

仕方なくトドメを刺す

刀を持ったまま 舞台が回り 奥庭の場へ


アレレ

奥庭の場は

橋のような円弧のりっぱな渡り廊下があったはずだが

今回はない

大道具さん 経費削減か?


上手に障子のはった丸窓

あとは大きなお庭

その丸窓を蹴破って 貢と血みどろの客2人が出てくる

広い庭に出て 

虚な目の貢は 弄ぶように刀を振り振り追いかける

この刀は 実は妖刀と言われる青江下坂(あおえしもさか)

血に飢えているよう

刀に引っ張られるようにして 貢は相手に斬りかかる


何人斬り殺したのでしょう


貢は喉の渇きを覚え ハッと我に帰る

硬く握った右手が刀から離れない

右肘を地面に打ち付けて ようやく刀が離れる

(河内屋与兵衛も同じようにしていた)

手水鉢で水を飲む

お紺が上手から走り寄る

お紺に斬りかかろうとする貢

お紺が折り紙を取り出す

あー読めた 

阿波の客を安心させるために ワザと愛想尽かしの芝居をしたのか


あとは名刀青江下坂が揃えば

と 

喜助が駆けつける

貢が持っている刀が青江下坂だと

提灯の明かりで刀の銘を確かめる貢


青江下坂とその折り紙が手に入った!


最後に形よく決まった3人の見得は 

天国の秀太郎さんに捧げられたように見えた