先月23日、歌舞伎座で仁左衛門の弁慶を観ました
奇数日だけの出演で、 
生命を削っての必死の弁慶
と思いました
今月、疲れが出ていないか チョット心配でした


10月御園座
昼の部は『双蝶々曲輪日記』「引窓」
南与兵衛(後に南方十次兵衛)役

武士の姿で 花道から登場
拍手が起こる
一見しただけで、若い、元気

顔の作り なんだろうけれど
弁慶の時より顔が引き締まって見える

安心しました

話は、
郷の代官となった与兵衛(仁左衛門)と、遊女あがりの女房お早(孝太郎)、与兵衛の継母お幸(吉弥)とその子で侍殺しのお尋ね者・濡髪(獅童)
の4人が織りなす義理と人情の葛藤のドラマ
最後は、濡髪を後ろ手に縛っていた引窓の縄を
与兵衛いや南方十次兵衛が切って濡髪を逃す
その言い訳が、
夜明けを知らせる鐘が鳴ったから非番になった
丁度今日は、近くの岩清水八幡宮の放生会の日 

髪型を変え、右頬の大きな黒子も無くなった濡髪は、花道を駆けていく

「角力場」「難波裏」に続く「引窓」だったのでよく分かりました

この後、濡髪はどうなるのでしょうか
知らんけど


夜の部は『身替座禅』
山蔭右京役
仁左衛門さんは、右京の理想像にピッタリの役者だと思います
背が高くて、男前で、優しくて、柔軟(軟弱)で、可愛くって、踊りも上手な、右京・仁左衛門

山の神(妻) 玉の井を鴈治郎
太郎冠者を錦之助
この2人の配役もピッタリ

最高に面白い3人でした
3人とも面白おかしく演じるのではない
話の筋が面白いから、笑える

花子に逢いに、喜んで花道を引っ込む時の右京
逢瀬の後、花道を酔って千鳥足で帰ってくる時の右京
座禅衾(ざぜんぶすま)を被っている玉の井を 太郎冠者と勘違いして、逢瀬の内容を事細かに、身振り手振りで話す右京
衾を取って、山の神・玉の井とわかった時の右京

もう、何処を切り取っても、絵になる仁左衛門の右京でした

語りは、上手に三丁四枚の常磐津でした
右京が花道を帰ってくるところから
舞台の松葉目の道具板がスーッと上がり
勧進帳の時のような二段の雛壇の長唄お囃子連中が現れました
その後ろには、また松葉目
常磐津と長唄の掛け合いで、豪華でした


侍女千枝は、上村吉太郎 18歳
侍女小枝は、片岡千太郎 13歳
この2人もよく頑張った
2人の踊りも美しかったですよ
千太郎君が、チョット変声期で低音の侍女でした

観劇中、隣で見ている山の神が、時々私の顔を覗っていました
なんでしょう
よっさんには右京のような・・・
身に覚えはない


海老蔵の古典への誘いで観た『身替座禅』を含めて
今回が、3回目の身替座禅だと思いますが
今までで1番最高の舞台でした
良いものを見ました

仁左衛門さんの踊りも所作も、柔らかく美しく見えます
簡単に動いている様に見えますが
ひねったり、のけ反ったり、
恐らく体幹の筋肉はキツそう
右京役も大層体力を使うはず

千穐楽まで、頑張ってほしいものです


今度は、師走に南座で、
また仁左衛門さんを観ます
すでに今から、待ち遠しい