『宇宙兄弟』を労働法・個人情報保護法的に考えてみた | なか2656のブログ

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小山宙哉『宇宙兄弟』のストーリーの冒頭では、主人公が職場で上司とトラブルになって、解雇されるシーンが描かれています。

もちろんストーリーを盛り上げるために小山先生はこのような描写にしたのだと思いますが、上司から弟の悪口を言われ、ついカッとして上司に頭突きをしてしまったという主人公の行為が、ただちに解雇に結び付くのは、少々とっぴな感じがします。
ご存じのとおり、労働基準法には解雇を制限する条文(19条など)があり、判例も「解雇権濫用法理」により、解雇を制限する判例法理が確立しています。
すなわち、解雇に結び付く行為が重大な程度に達しており、他に解雇回避の手段ががなく、労働者の側に宥恕すべき事由がほとんどない場合、にのみ解雇が認められるとされています。
そのため、この主人公の行為は、解雇以外の懲戒処分(たとえば減給や一時停職など)で対応すべきであり、解雇は解雇権の濫用であり許されないように思われます。
そこでもし主人公が従業員としての地位確認訴訟などを提起した場合は、主人公の主張が認容されるような気がします。


また、個人情報保護法の観点からは、この上司がJAXAに対して、主人公のあることないことの悪口を電話で言ったとの描写がありますが、あらかじめ本人の同意もなく退職者のこのような話を就職活動中の団体に対して行うことも、個人情報保護法違反であり許されないと思われます。

(個人情報保護法23条、厚生労働省告示平成16年第259号など)


うーん、こう考えてみると、主人公のいた会社は二重、三重にひどい会社ですね。


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