こんにちは。
関西で宝塚歌劇団といえば、華やかな印象とともに、阪急電鉄が運営する堅実な劇団という好イメージがありました。
それを打ち破ったのが、昨年の劇団員の死亡事案でした。
労基署が入って実態調査が行われていましたが、今回是正勧告を受けたとの報道がありました。
焦点になったのは、団員の女性の労働者性でした。
劇団員になって夢の舞台に上がるには難関の音楽学校に入学して2年間レッスンを受け、卒業することが必要です。
その後、5年間は雇用契約を結び、その後は業務委託契約に切り替わるようで、この団員は業務委託で働く、「個人事業主」だったのです。
ここで問題になるのが、この業務委託の形で働く団員が、労基法上の労働者に当たるかどうかということですが、今回、労基署は労働者に当たると判断しました。
勧告内容は詳しく分かりませんが、労働者性の認定要件とされる、①使用性(指揮命令下の労働)②報酬の対償性③補強要素(事業者性、専属性等)といった要素を、それぞれ検討したことと推察します。
働いていた時間が極めて長時間だったという事情も考慮されたのかもしれません。
そもそも、同じ舞台に上がっている団員のなかに、労働者とそうでないものがいるということは、不自然といえば不自然ですが、一般企業では同じようなことはよくあります。
運営会社が現場の事情をどこまで承知していたかは分かりませんが、現状を直視せず、劇団員の頑張りに甘えていた可能性はありそうです。
同じような働き方になっている、他の分野への波及もありうる案件だと感じています。
特に、10月から最低賃金が上がる状況のなかで、経費節減のために安易に業務委託への切り替えることには注意が必要となりそうです。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回の更新でお会いできたら嬉しいです。