こんにちは。
就業規則もそうですが、法令や条例、規程などには、本則のあとに「附則」というのが付くことがあります。
多くは、施行日や経過的措置、特例、検討条項など、本則では書き切れないことを補足したり、追加したりする必要があることを規定するのです。
が、時に、これが本則と同様、あるいはそれ以上に重要な意味を持つことがあります。
これに加えて、法律が制定される際に、本体の条文とは別に「附帯決議」というのがなされることがあります。
法律の施行にあたって付けられた意見や希望、注文といった性格を持ちますが、法的拘束力はないとされています。
いずれも、あくまで本則や条文本体を補充するためのものであるはずです。
ところが、最近の状況を見ていると、「附則」や「附帯決議」が本来の役割を超えて、賛否に関わる妥協や合意に向けた「取引材料」のように用いられることが普通になっているみたいです。
長い「附則」がついたり、条文本体の中身に踏み込んだような「附帯決議」が付いたりすることになり、どちらが「主」で、どちらが「従」なのか、分からなくなるのです。
法案を提出する方は、何としても成立させたい。異議がある方は、成立は止められないけれども抵抗の跡を残したい。
そんなやり取りの果てが、普通の人には分かりにくい内容として、後々に残されるのです。
現在、国会で審議されている政治資金に関する法律はまさにそうです。
その点、社労士が普段取り扱っている就業規則には、そんなややこしい「附則」が付くことはまずありません。
労働者代表の「意見書」がその役割を果たしているのかもしれませんが、多くは「異議なし」とされています。
しかし、今後は、この「意見書」が従業員の異議や抵抗の跡を残すものとして機能する日がくるかもしれないと思うのです。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回の更新でお会いできたら嬉しいです。