こんにちは。

 

年金のなかで、すべての人が関わるとは限らないのが、障害年金と遺族年金です。


なじみが薄い分、支給要件や支給内容について理解が進んでいないように感じています。

 

「年金の話」第8回は「障害年金と支給停止」について取り上げてみます。

 

障害年金の支給事由が業務上の災害(労災)である場合には、①労基法上の災害補償や②労災保険による保険給付との併給が問題となります。

 

労基法により使用者が災害補償を行うときには、障害年金は「6年間」支給停止されます。


これは遺族年金や寡婦年金についても同じです。一方、一時金である傷害手当金は不支給となります。

 

では、なぜ「6年間」なのでしょうか。

これは、私にとって長年のナゾでした。

 

今回、専門書を紐解いてみて、ようやくそのナゾが解けました。


そこには「立法当時労基法の障害補償が平均賃金の6年分に相当する一時金として支給されていたことに由来する」とありました。

 

「6年間」は労基法で、そのあとは、年金法で補償すると考えた、ということのようです。

 

もっとも、この「6年間」支給停止は、実際には、ほとんど適用されることはありません。


そのため、今度は、労災法による保険給付との「併給調整」がされることになるのです。

 

この場合、障害年金は「全額支給」され、労災は「減額」(0.73)されることになります。


ただ、無拠出制の障害基礎年金(20歳前障害)は原則として「支給停止」になります。

 

これは、事業主の保険料負担のダブりを回避するためとされており、労働者の生活保障を旨とする年金法の方を優先するという趣旨と考えられます。

 

こうして、二重取りを許さないという「併給調整」があちこちで出てきますが、年金法は、本当に奥が深いといつも思います。

 

今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回の更新でお会いできたら嬉しいです。