こんにちは。

 

前回は、65歳以降の働く高齢者の年金問題として、在職老齢年金を取り上げました。


65歳以降の問題としてもう一つあるのが、繰下げ支給の問題です。

 

これについては、いろいろなところで紹介されていますが、まだまだ誤解や曲解があり、正確なところが知られていないのが現状です。

 

「年金の話」第7回は、この「繰下げ支給と加給年金」について取り上げたいと思います。

 

「繰下げ支給」については、よく「いつまで生きていたら受給総額が逆転するのか」という損益分岐点」が話題になります。

 

これは計算すればすぐに出てきて「11年11か月後」とされています。


概ね「12年後」と覚えておけばよいのですが、これには一つの前提が抜けていることは、余り語られていません。

 

老齢厚生年金を繰り下げると、その間は、加給年金や振替加算は支給されないこととされています。また、増額の対象外となります。

 

この加給年金は、65歳になったとき65歳未満の配偶者がいれば支給されるもので、その配偶者が65歳になると振替加算に形を変えて支給されます。

 

一方、繰下げしないとこの2つは支給されるのですが、実のところ、損益分岐点の計算には、そのことが考慮されていません。


つまり、逆転がさらに遅くなるのです。

 

加給年金は、夫婦の年齢差によって支給期間が異なり、標準的な受給額を計算することが難しいというのが、算入されていない理由だと思われます。

 

どうしても、正確な損益分岐点を気にするということであれば、具体的に計算するしかないことになりますが、そもそも繰下げしようと考えている人は、そんなことは気にしないのかもしれません。

 

実はこの加給年金は「ねんきん定期便」には記載されませんし、年金事務所でしてもらえる受給額の試算にも出てきません。

 

配偶者のデータを入力しておけば、数字は出てくるはずなのですが、いつも人知れず迷子になってしまう年金なのです。


繰下げの判断にはそうしたことも知っておいて欲しいと思います。

 

今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回の更新でお会いできたら嬉しいです。