こんにちは。

 

前回、毎年1月に公表される年金額の改定について取り上げましたが、この時に示されるのが「年金額の例」です。


令和6年度の厚生年金では、230,483円となっています。

 

報道でよく出てくるのですが、これが「モデル年金」というもので、年金水準について議論するときの「モノサシ」として使われています。

 

「年金の話」第4回は、この「モデル年金」」について取り上げることにします。


この額を見て、誰もがこれだけの年金をもらえると思っている人はいないでしょうが、これがどんな意味を持つのかは余り知られていません。

 

ざっくり言うと、働き世帯の65歳時における夫婦2人の国民年金と厚生年金の平均的(標準的)な受給額というところでしょうか。

 

ただし、前提がいくつもあります。

 

夫婦とも480月分の満額をもらうことや、夫は40年間平均的な賃金を得ていること、妻は20歳から60歳まで夫の被扶養者となり、厚生年金に全く加入していないことなどです。

 

実際にこれだけの条件を満たす世帯がどれだけあるのかは定かでありません。平均とか、標準とか言われても、ピンと来ないのが現状です。

 

実際、共働き世帯が多数を占めていること、片働き世帯の所得代替率が共働きや単身よりも高くなっていることなどの問題点が指摘され、見直し議論が絶えないところです。

 

この見直しに当たって、壁となっているのが、5年ごとに行われる財政検証の際の基準とされてきたことです。

 

よく言われる「代替率50%保証」というのも、モデルとされている片働き世帯の65歳時点の年金が基準となっているのです。

 

この基準がころころ変わるというのは、制度の継続性という意味では確かに不都合です。

 

ただ、いずれは来るべき「モデル年金」の考え方の破綻に備えて、そろそろそれに代わるもの、あるいはそれを補完する指標を示してほしいと、多くの人が思っているはずです。

 

そうした思いに応えることが、年金への信頼性を高めるために必要なことのはずです。

 

今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回の更新でお会いできたら嬉しいです。