こんにちは。
先日、GW前に出た配置転換に関する最高裁判決について紹介いたしました。
実は、その10日前に、社労士にとって重要な意味を持つ、もう一つの最高裁判決が出ていたのです。
4月16日になりますので、今年度の社労士試験に出題されることはありませんので、気楽に読み進んでもらったらと思います。
この事案は、事業外労働のみなし制に関するものです。
外国人技能実習生を企業に送り込む監理団体で働く男性が、みなし制適用のもと働いていたのですが、勤務実態からそれには当たらないとして、時間外労働に係る割増賃金を請求したものです。
一審と二審は、労働時間を算定し難いという、みなし制の適用要件に当てはまらない、つまり、労働時間を把握できるとしました。
これに対して、最高裁は、「労働時間を具体的に把握することが容易であったとは直ちにいい難い」、つまり、把握できないのではないかということで、「差し戻し」としたのです。
判断のポイントとなったのは、業務日誌の存在でした。
それには、企業回りをしている内容について記載を求められており、最高裁は、上司としてそれにより具体的な内容を確認し、指揮監督することができるとされたのでないかと判断したのでした。
この問題については、旅行添乗員の働き方について争った「阪急トラベルサポート事件」があります。
そこでは、勤務の具体的事情を踏まえたうえで、その状況を把握することが困難であったとは言い難いとしています。
今回の判決もこの判例を概ね踏まえており、事業場外労働のみなし制の適用範囲を安易に広げることを戒めているようにも思えます。
この間、定着したテレワークの適用についても、同様のことが言えます。
みなし制は、営業など外回り社員に多く適用されていますが、今一度、適切な運用となっているのか、点検してみる必要がありそうです。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回の更新でお会いできたら嬉しいです。