こんにちは。
今年も本格的な春闘の季節を迎えようとしています。
大手企業のなかには、春闘を待たずに賃上げを決定したり、初任給を大幅に引き上げたりと、今年の方向性を示唆するような動きが出ています。
報道によると、来年度中には実質賃金がプラスに転換すると予測する専門家が多いようですが、それもこの春闘の結果次第によります。
いつもこの時期に感じるのが、労使協議の一方の当事者である労働組合の組織率の低さです。
令和4年には16.5%となっており、ここ数年はほぼ変わりませんが、長いスパンでは低下の一途をたどっています。
労働組合のある企業の割合も、1000人以上では半数以上ですが、人数が少なくなるほどその率は低くなっており、全体では12.6%に過ぎません。
春闘で使用者と賃上げ交渉をする労働組合も、この割合に過ぎないということです。
このことは、労基法が想定する、使用者と協議するのは労働組合であるという構図が、既に崩れ去っていることを意味しています。
労基法が想定する、もう一つの労働者の主体がいわゆる「過半数代表者」なのですが、この存在も危ういものでしかないことも明らかになっています。
労働政策研究・研修機構の調査では、その代表者は21.4%が使用者の指名により、6.2%が親睦会代表等が自動的に就くという結果が出ています。
また、部長、課長など役職者が就く場合は、使用者の指名によることが多いということも明らかになっています。
会社を訪問しても、同じようなことをよく聞きます。
このような状況で、労使間において適正な協議が期待できるかは疑問です。
この問題は、以前から指摘されてきたのですが、今回始まった厚労省の研究会でも検討課題の一つとして挙げられているようです。
遅きに失したという感じはありますが、建設的な議論が展開されることに期待したいと思います。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回の更新でお会いできたら嬉しいです。