こんにちは。
前回、今年の最低賃金をめぐる議論の注目点について触れましたが、今回はその議論に影響を与えそうなポイントについて見ていきます。
今回の議論に当たって、1,000円突破のための工夫がいろいろされていることが分かってきました。
⚫︎改定の目安が3区分に変更
その一つは、これまで改定の目安のランクには4つの地域区分がありましたが、それが今回は3つにされたことです。
ランク分けは、都道府県ごとの所得・消費、給与、企業経営に関する19指標を基に算定した総合指数により、決めることになっています。
今回そのランクを3つにした理由として「区分が多くなれば地域別の差が開く可能性が高くなるから」としています。
裏返せば、区分を少なくすると地域別の差を少なくなり、全体の底上げを図ることができるということになりそうです。
⚫︎ランク分けの不思議
また「目安のランク分け」についても、前回と異なったところがあります。
近隣のよく似た状況にある府県は、これまで同じランクに置かれていたのですが、3ランクにしたことによって別のランクにされた府県があります。
例えば、島根と鳥取。これまでは両方とも一番下のDランクでしたが、今回は島根がB(真ん中)で、鳥取がC(一番下)に区分されました。
もちろん、根拠が示されていて、総合指数に少し差があるのですが、普通に考えたら、この差は微妙すぎてよく理解できないところがあります。
もう一つは、兵庫と埼玉。今回の総合指数では、兵庫が上なのに、ランク分けでは、埼玉がAで、兵庫がBと逆転現象が生じています。
これも「現行のランクとの継続性を重視し、Aは前回のままとする」と説明されていますが、これだけでは真の理由が分かりません。
細かいところをほじくり返しているように思えるかもしれませんが、こうしたランク分けも1,000円突破のための布石と見るのは考え過ぎでしょうか。
こうしたところも頭に入れながら、今回の最低賃金の議論を見ていくと、興味がわいてくるかもしれません。
いずれにしても、しばらくは目が離せません。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回の更新でお会いできたら嬉しいです。