こんにちは。


前回、厚労省の「モデル就業規則」(モデル規則)はあくまで骨格を示したものですが、就業規則を学ぶうえで良い教材になるという話をしました。


今回からその「モデル規則」を参考にしながら、具体的な規定を見ていくことにします。


その3:総則に書くことは何か

就業規則の冒頭には「総則」を置くのが通例になっています。ここで就業規則全般に関わることを記載することになります。


「モデル規則」では、「総則」として、

「目的」(1条) 

「適用範囲」(2条)

「規則の遵守」(3条)の3つを置いています。



⚫︎目的には何を書くのか

「目的」は就業規則を定める意義について規定するもので、多くはサラッと「労働者の就業に関する事項を定める」とする場合が多いようです。


ここで何を書くかは、就業規則の作成主体である使用者が自由に判断し決定できますので、使用者の経営や労務に関する思いを書くこともできます。


さらには、憲法の「前文」のような形で経営方針みたいな思いを書くことも考えられます。


就業規則がその会社の「憲法」とか「基本法」であるという位置付けであることを考えれば、この「目的」あるいは「前文」は重みがあると考えます。


ここは使用者が自分の会社の就業規則をどのように考えるのかによることになります。


「モデル規則」には、それに加えて「この規則に定めた事項のほか、就業に関する事項については、労基法その他の法令の定めによる」という規定があります。


これは、労基法と労契法の規定に基づく原則を書いたもので、あえて書く必要はありませんが、労働者に就業規則の効力を認識してもらう意味はあるように思います。


⚫︎適用範囲で気をつけること

「適用範囲」には、その就業規則が適用される労働者の範囲を書くことになります。


就業規則はすべての労働者について作成する必要がありますので、通常の労働者と勤務態様が異なる労働者(パート、契約、嘱託等)については「特別の規定」をおくか、「別規程」にする必要があります。


労働者の分かりやすさから言えば、「別規程」にするほうがよい場合が多いかもしれません。 


次回は「総則」に係るもう一つの問題について考えてみます。



今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回の更新でお会いできたら嬉しいです。