こんにちは。


前回は老齢年金の「繰下げ」受給に係る「申出」時期について取り上げました。


今回は引き続き「繰下げ」に係る年金額の「増額」について見ていくことにします。


vol.8:繰下げの増額の仕組み

「繰下げ」の「申出」をした時点に応じて、受給権が発生した日の属する月から繰下げした月数ごとに、0.7パーセント増額されます。


例えば、

・70歳0月まで繰下げ:42%(0.7×60月)

・75歳0月まで繰下げ:84%(0.7×120月)

となります。


75歳の84パーセントが上限となりますが、本来の年金額の2倍近くになるのですから、魅力的に見えても仕方ありません。


ここで注意したいのが、加算対象になるものと、ならないものがあることです。


⚫︎加算対象に「なる」もの

・まずは、老齢基礎年金の上乗せになる「付加年金」です。一緒に繰下げられ、また同率で増額となります。


・もう一つは、「経過的加算額」。これは特別支給の定額部分と老齢基礎年金と間で差額が生じる場合に加算されるものですが、加算対象になります。


⚫︎加算対象に「ならない」もの

「加給年金」「振替加算」は加算対象になりません。また、繰下げ待機期間中はこれらを受け取ることができませんので、注意が必要です。


こうしたことを整理したうえで「繰下げ加算額」は次のような算式で求められることになります。


・「繰下げ加算額」

=(繰下げ対象額+経過的加算額)×増額率


ここでもう一つ注意したいのが、65歳以降も働いて「在職老齢年金制度」の対象になり、老齢厚生年金が一部支給停止になっている場合の取扱いです。


この場合、支給停止されている額については、増額対象にならず、一部支給されている額についてのみ増額対象になります。


後で思っていたほど増額されていなかったということがあり得ますので、一定額の所得がある人は気を付けたいところです。


65歳以降も働く人が増え、今後繰下げを選択する人が増えてくることが予想されますが、この取扱いには注意しておきたいですね。



次回は「繰下げ」の活用方法について取り上げたいと思います。



今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回の更新でお会いできたら嬉しいです。