こんにちは。
「読書の秋」になり、時間を見つけて得意の「乱読」を続けています。
直木賞受賞作も読みたいし、次々に発刊される新刊本も気になりますが、今回手にしたのは「ジョブ型雇用社会とは何か」(岩波新書)です。
「ジョブ型」という言葉を広めたとされる濱口桂一郎さんの著書です。
この本は「ジョブ型」にとどまらず、日本の雇用システムや働き方の現状について、歴史的視点も踏まえ、やさしく説いてくれる一冊です。
「ジョブ型」は昨年あたりから大手企業が導入し、マスコミや経営者団体がこれからの雇用のあり方として取り上げたことから注目されました。
が、その後はコロナ禍が拡がり、関心はテレワークやリモートワークに向かい、最近議論は少し落ち着いているように見えます。
濱口さんが指摘されるのは、「ジョブ型」という言葉が一人歩きし、誤解が生まれていることです。
「ジョブ」は「職務」であり、「就職」とは本来その「職務」に就くことであるはずなのに、日本では会社という組織の一員に就くことを意味します。
これが日本型雇用システムである「メンバーシップ型」で、それを前提として採用から定年退職に至る全てのステージが組み立てられています。
こうした職務に基づかない賃金制度を、濱口さんは「座る椅子とは関係なく、ヒトに値札が貼られる仕組み」としています。
それなのにマスコミなどでは「ジョブ型は時間ではなく成果で評価する」といった誤った理解が進んでいることの違和感を指摘されています。
一冊読み終え、日本で本来の「ジョブ型」が根付くには数々の障害があることが分かりました。
確かに従来の「メンバーシップ型」の形態に、無理やり「ジョブ型」をインストールすると、様々な弊害が出てきそうです。
ただこれからの経済社会のことを考えると「ジョブ型」がまったく不要ということにはならないような気がします。
リモートワーク、高年齢雇用、非正規雇用、兼業・副業などの「新しい働き方・働かせ方」が定着するにつれ、ジョブ(職務)を中心にした雇用システムを取らないと、経営の効率性は期待できません。
働く労働者にとっても、本来の意味での「就職」は、能力の発揮や雇用の流動性を加速させます。
考えられる形は、企業規模や業種、職種、年齢等に応じてカスタマイズした日本固有の「ジョブ型」を徐々に拡げていくことではないかと思います。
そんなことを思い起こさせてくれた一冊でしたが、濱口さんが以前に書いた「新しい労働社会」(岩波新書)と併せて読むと理解がさらに進みます。
秋の夜長に手に取っていただくのもいいかと思います。早寝の私には夜の読書はとても無理ですが(笑)
今回もここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。次回もまたアクセスしてください。
記憶に残るあの日・あの場所
2007年7月 ベルリン(ドイツ)🇩🇪
「この時には東西統一から16年経っており、旧東ドイツ側の商店街は以前とはすっかり変わったオシャレな感じになっていました。」
