こんにちは。


社労士学習「最低賃金法」は「労一」のなかの一つに過ぎませんが、労働政策や実務での重要性は結構高いと思います。


また、特に非正規で働く人にとっては、毎年の改定には関心を持っていることでしょう。


一方、企業にとっても、最低賃金の違反には罰則(50万円以下の罰金)がありますので、決して軽視するわけにはいきません。


6月9日にまとめられた、いわゆる「骨太の方針」原案には、今年も「より早期に全国加重平均1000円とすることを目指し、本年の引き上げに取り組む」とする方向が示されました。


これを読んで社労士学習との違和感を感じた人は、学習が進んでいる人だと思います。


⚫︎「最低賃金」(最賃)は、各都道府県ごとに定めるとされており、その際には「地域における生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して」とされています。


⚫︎また「生計費」は「生活保護に係る施策の整合性に配慮する」とされていることは、試験対策でも重要な点でした。


⚫︎もう一つ「最賃」の対象とならない範囲を整理しておくと、臨時の賃金や賞与、割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当になります。


⚫︎この範囲は、健保や厚年で被保険者となれない短時間労働者の報酬額要件(88,000円未満)と同じであることも確認しておきましょう。


⚫︎昨年の「最賃」を見ると、最も高い東京の1013円から最も低い792円(7県)までかなり大きな開きがあります。


⚫︎この加重平均が902円で、これを1000円まで引き上げる目標は、かなり高いハードルです。


⚫︎「最賃」はまず「中央最低賃金審議会」で引上額の「目安」を決め、それを踏まえた「地方最低賃金審議会」の審議・答申を経たうえで、都道府県労働局長が決定します。


⚫︎その「目安」は各都道府県の経済実態を踏まえて、4つのランクに分けられており、ランクごとに目安額を決定することになっています。


⚫︎「審議会」には公労使の代表が参加し、それぞれの立場から意見を表明しますので、なかなかまとまらずに徹夜審議になることもあります。


⚫︎それでも大体は「目安」に沿った引上額に落ちついています。


⚫︎例年なら6月末から7月末に審議・決定されますが、「発効日は10月1日頃ですので、決定からわずか2か月で、システム改修や支払い原資の確保をしなくてはいけません。


⚫︎このように「最賃」の決定過程には、政治的な影響力が余り及ばないような制度設計がなされていることが分かります。


本来「最賃」は「賃金の最低保障」が目的でしたが、最近は成長戦略のツールとして利用される傾向が強くなってきました。


デービット・アトキンソンさんの「日本の「最賃」は先進国最低クラス。「最賃」と生産性には強い相関がある」との意見はそれを後押しするものです。


このコロナ禍で中小・零細企業の経営者は賃上げどころではないと、日本商工会議所などは政府に現行水準の維持を求めています。


今や政治マターになっている「最賃」ですが、現場の労使にとっては経営や生活に直結する制度ですので、その動向に注目したいと思います。



本日もここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。次回もまたアクセスしてください。



開業カウントダウン〈2022.4.1まで234日〉

「eラーニングのよいところは反復できること、時間と場所を選ばないこと、その利点はフルに活かしたいです。」


記憶に残るあの日・あの場所

2019年5月 カウナス(リトアニア)🇱🇹

「杉原千畝さんが列車の出発まで通過ビザの発給を続けた駅のホームに立つと、映画で観た感動のシーンを思い出しました。」