6月になると彼女と授業ですれ違っても、
会釈する程度であまり話すことはなかった。
そして、おはようメールの返事がどんどん短くなる。
「おはよう。今日もがんばろう!」
メールを返してくれるまでに時間が長く、
日に日に文字数は減っていく。
僕は「何かがある」そう思っていた。
そんな寂しさを紛らわすために友達と遊ぶことにした。
就職活動中に知り合った女子学生。
地元が一緒だったことから意気投合し、
メールで何度もやりとりをしていた。
会って遊んだことはなかったけど、
就職活動も落ち着いてきたので遊ぶことにする。
6月にもなると内定のピークが過ぎ、
選考も減り始めるので、比較的忙しくなくなる。
その代り、モチベーションを保つのが難しい。
もう彼女は内定を頂き、就職活動を終えようとしていた。
お互い、家が近いので地元で遊ぶことにする。
別につきあってもいないので浮気ではない。
コーヒショップでお茶をしていると、彼女も悩んでいるようだ。
彼女の悩みは就職活動ではなかった。
「高校時代の彼氏と別れるかどうか」
よく就職活動中にありがちな悩み。
自己分析 をしていると将来のことを考え、
将来が不安になり別れてしまうカップルも多い。
彼女はあまりにもつきあいが長くて友達みたいになってしまい、
好きかどうかわからなくなってしまったらしい。
僕はそんな彼女に対し
「一度、離れて見るのも良いんじゃないのかな?」
「そうかな。」
「ありがたみもわからないし、離れて再確認するのもいいんじゃない?」
「たしかにね。恋人よりも家族みたいな雰囲気だからなぁ」
「自分は言える立場でもないけどね」
下心は全くない。
でも、そんなタイミングを狙っている男がいるのも確かだ。
結局、彼女は彼氏と別れ、
言い寄ってきた大学院生と付き合うことになったらしい。
僕も彼女に今までの経緯と悩みを打ちあけた。
「最近、メールの文字数も少ないし、そっけいなんだけど、どう思う?」
「明らかに、もうダメじゃない?」
「そうだよね。自分もそう思う」
すると彼女はためらいもなく、
「諦めちゃえば。」
不安で仕方がなく、
それでもよいかもしれないそんな風に思っていた。
このとき、彼女から好きな漫画を紹介される。
「ブラックジャックによろしく」
彼女は薬学部で、例の彼氏も薬学部で
二人ともはまっているらしい。
彼女と別れた後、本屋に立ち寄り、
「ブラックジャックによろしく」を全巻購入した。
僕の心は不安定で、ブラックジャックによろしく8巻 の
がん患者の話を読んで号泣した。
特に印象に残った言葉がある。
「手はつなぐためにあるんじゃないのかな・・・」
人の命は限られている。
それを教えてくれた素晴らしい漫画だった。
僕は1日で全巻読んでしまった。
【教訓】
人の命は限られている。だからこそ、後悔のない人生を。だからこそ、就職活動 は妥協してはいけない。