土日はお城に泊まって必ず彼と過ごしている。
水曜日の夜の必ず家にいない。そのほかの曜日も適当に外出している。
食事は全く作ってない。
洗濯は自分のものとタオルだけを洗っている。
寝るとき、最近は隣の部屋に移動してじゅうたんの上に寝ていることが多い。


それでも何も聞かない言わない結婚相手。


家にいるときも私は結婚相手がいることを意識しなくなった。
おかげで、ストレスが無くなった。

なにか言ってても生返事、結婚相手がしていることに対して何も言わない。
一日中ビールを飲んでいようが、家事を何もしないことにも私は文句を言わない。
どこへでかけているのかもわからない時があっても何も聞かない。




よく考えるとこれって、
『結婚相手が私にしていたこと』じゃん。
と気づいた。




そう気づいて思ったのは、
『もっと早い時期に結婚相手は私と同じ状況に陥っていたのではないか』
ということ。

ようは、
「もっと前から結婚相手の方が私と別れたいと思っていた」
ということ。

私にとって都合がいいからこういうことを言ってるんじやなくて、実はそうだったのかもしれないというある種驚愕の事実なのかもしれないと考えた。


どうして私がこういう状況(心境)に陥ったのかは、私自身が一番良くわかっている。



つらくてつらくて、自分がダメになりそう。
状況を良いほうへ持って行こうと言葉や行動に出してみるけど、相手は何も聞き入れてくれない。
それどころか自分を責めてきたりもする。
だから自分を省みて自分自身を正そうともしてみたけど、どう考えたって悪いのは自分だけじゃなく…
何をしたって空回り、頑張ってみてもわかってもらえない。
つらい、つらい。
なにか自分が楽になる方法はないか探す。

もう何も期待しないほうがいい考えないほうがいい言わないほうがいい。

そうすると、自然と相手に対して興味も無くなるし、相手が機嫌悪そうにしていても気にならなくなる。
見下すというのとも違い、
そのとき相手は自分から見て上にも下にも同じところにもいない。
自分の中で、相手は上にも下にも同じところにもくることはない。

無いものとして考えるようなるから。…




それは、自分がつらくなくなるために自然とたどり着いた方法であり、
実は不本意極まりない行動であることは間違いない。


「本音なんて言えない」と言っていた結婚相手の気持ちがなんだかわかる気がしてる。


今の私にも本音なんて言えない。






じゃあ彼とはそんなことなくうまくやっていけそうと自信持って言えるというわけでもない。

彼も人間、他人。

腹も立つし、なんなのよそれはと思う欠点だってある。
きっとそれはお互い様。


私は、今まで他人の欠点にすごく寛容でなかったと感じてる。
ひとついやなところを知ると、
そのすべてを直して欲しいと思いその部分を重箱の隅をつつくような感じで責め立てて嫌悪していた。
自分がそうされたときにはすごく反発して、
あまつさえ
『私は変わらない。こういう私を認めろ、こういう自分を好きになったんでしょ』
と逆切れに近いことを力強く言い放ってた。

なんて自分勝手なんだと思うけど、これって誰しもがもってる本質であると思う…のは勘違いかな?
そうでなくても私の本質は今もこれと同じだと思ってる。
でもそれが本質であるにしろ、なんの根拠もないのにそれを堂々と言うのって他人に無理を強要している以外なにものでもないことは今はわかる。

そう、私は今まで他人に無理ばかりさせてきた。
欠点…弱い部分を認めなさ過ぎた。

受け止めてあげればよかった。

「完璧な人なんていない」って言葉は、自分だけに向けられてた。






ネットで、いいアパートはないかなと検索して良さそうなものをみつけたので一緒にネットカフェ行ったときに彼に見せてみた。
「間取りもよさそうだね、土曜日にでも見に行ってみる?」
と言った。
そしてそのあと、知り合いとのチャットの中で彼が
「人生は妥協だ!!」
って突然言い出した。
知り合いの悩みを聞いていて終盤に差し掛かったときに彼がそうタイピングしたのだが、
あとになってすごく気になった。


「2年以内には」と前に彼が私に言うまでの間、本当はいろいろ考えていたのかもしれない。
お金を貯めて、ちゃんと式も挙げて、住むところもそれなりのところを選んで…とか。
いろいろちゃんと整った上で私を迎え入れようと計画していたかもしれない。彼の中で。

それを、
家にいることがつらいつらいとあまりにも私が言うし、
「アパートがあったらいいのにな」と催促じみた言葉も言うから、
「まぁいいか」と彼の中で思ってしまったのかもしれない。
いや、『思わせてしまったのかもしれない』。
私が。



結婚相手と結婚するときのことを思い出した。
私が区役所で市営住宅の申込書をもらってきて結婚相手に「ここ、よくない?駅に近いし病院も近いし…」なんて話してた。
結婚相手もいずれは私と一緒になるつもりだったから、そう言う私に何も言えなかったんだろう。
プロポーズもまだだったときの話だ。



なんかすごく状況が似てる。



と思ってすごくあせった。

彼に強要してない?
彼の中で、いろいろと考えていたはずのことを知らないうちにぶち壊してない?

「妥協だ!」

って言わせたのは私?
ここにいたくないからっていうわがままを押し通しているってことかもしれない。
また、私、同じ事してる?!

だからって素直にまだここ(今の家)に年単位でいる?って考えるとNOって言いたい自分がいる。

「自分だけの力でここを出ようと思ったけど、無理。
助けてもらっていい?
(おもに、経済的な話のことという前置きあっての言葉)」
って彼に言ったことがあって、そのとき彼はyesと答えてくれた。

返さなくてはいけないお金は着々と返しているけれど、そこからお金を貯めて家を出ようと思ったら一体どれくらいかかるか…
それに、結婚相手のセックスから逃げるのにも限界がきているし精神的にもつらい…
とも、私は言った。


これって、脅迫になってしまってた…かな?


こんな風に考えると、彼がアパートをなんとかしようとしていることが不安になってきた。
ちゃんとしたい、と考えている彼を否定してしまったことになるかもしれないって。
私がもう我慢出来ないって弱音はいて、彼のそう言うところを壊してしまおうとしてない?
と。

今度会ったとき、「人生は妥協だ!」って言い出した理由を聞いてみようと思ってる。
私がそうさせたのかどうかって。
でも、聞かないほうがいい気もしてる。
私の弱い部分を受け入れてくれてることに対しての非難になっちゃうかもしれないから…


困った。



もうずるい人間でいたくない。
彼のよいところを潰したくないの…
そのままの彼でいてくれることを願いたい、
そのままの彼を受け入れられるようになりたいんだ。

結婚相手をあんな人間にしてしまったのは私だ。
可哀相な事をしてしまったと申し訳なく思う。

けれどその罪を償うためにずっとそばにいることは出来ない。
私は結婚相手が逮捕されてしまったこと元犯罪者であることを一生、絶対に許せないから。

その過去を知っている上、そのことを忌み嫌ってる私と一緒にいたって結婚相手が不憫だ。
それを知らない人と一緒になったほうが結婚相手のためでもあるかもしれない。
(余計なお世話だけどさ。)

結婚相手も私もお互いを幸せに出来なかった。
いろいろなことがありすぎた。


「やりなおそう、お互い。人生を。」

結婚相手に早くそう話したい。

悪かった、と謝りたい。