誰も反論できない経理のおねえさん | ないなら作れ。なんでも工夫だ

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としとるとどんどんなくなっていく

私の職場では勤続30年の経理のおばちゃんが、怖いと評判です。出張旅費の申請書類に不備があれば、彼女は肩をいからせて飛んできます。そして、「ちょっと~。これぜんぜん違ってるわよ」と甲高い声でまくしたてると、特徴のある靴音を響かせて去っていきます。
仕事ぶりは優秀で、言い分も正論なため、彼女には誰も反論できません。パソコンに向かって仕事をしていても、その靴音が自分の背後で立ち止まると「硬直する」と私の同僚は言います。若い社員だけではなく、上司たちも彼女には頭があがらないのです。
しかし、私はその恐怖を味わったことがありません。清算がややこしい海外出張の時でさえ、彼女は「一番いい日のレートで計算しておくたわよ」と愛想よく笑ってくれます。ただ、私は彼女の手を煩わせてしまいそうな出張の後には、かならず手土産のお菓子を献上しています。たったそれだけで、とても良くしてくれるのですから、それほど怖い人じゃないのでは…。