NY特集　番外編★代々木上原ニューヨークデネイル　第１部

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残すところあと一回…の筈だったNYサロン特集ですが、今回は番外編です。
NYでフリーランスのネイルアーティストとして数々の有名ファッション誌、
映画やCF撮影で活躍された、代々木上原NYDENAIL（ニューヨークデネイル）
オーナーの清竹さんにお話を伺いました！

代々木上原/東北沢　ニューヨークデネイル　
オーナー兼ネイリスト　清竹真衣さん
明るくて笑顔の絶えない素敵な方でした

会話上手で、取材中ついつい何度も笑ってしまいました！

Q.ネイルアーティストを志したきっかけを教えてください。
学生時代、テレビのタレントさん達のネイルが
宝石箱みたいに綺麗で。
それで最初に興味を持ちました。

たまたま手にしたネイル雑誌が衝撃で、ページをめくる度
「なにこれ、なにこれ、凄い！」って。
どうしたらネイリストになれる？と思いながらも、
全然違う仕事についたので切掛けをつかめなかったんです。

でも、務めていた焼肉屋さんを辞めた時に、
「よし、NYにいってネイルをやろう！」と決めました。

Q.ネイルの勉強をされたのは日本ですか？NYですか？
日本です。
高校を卒業後、しばらくアーカンソー州と
ニューヨーク州へ留学したんです。
その経験があったので、退職してすぐにでも
NYでネイルの勉強を始めたかったのですが、
ふと『本当にこの街でネイルをしたいのか？』
『すぐに引越してやっていけるのか？』と。

それを確かめる為２週間ニューヨークへ滞在して、
飛び込みでサロン、学校の現場を見て回りました。
その上で、
「NYで埋もれないためには、日本のネイル技術が必要だ！！」
と実感しましたね。

日本に戻って地元広島でビザの準備をしつつ、
ネイルを勉強してJNA２級まで取りました。
そこで「とりあえず１級は後回し！２級でも充分すごい！」と、
専門学校用のM-1ビザ（注1）を取得して、
NYへ移り住むことにしました。

※清竹さんご自身のネイル。花の3Dアートは、花びら一枚一枚清竹さんが製作。

Q.M-1ビザを取るのは難しかったですか？
最近は審査が厳しいと聞きましたが…。
うーん、確かに当時よりは難しくなったかもしれませんね。
とはいえ、今でも「銀行口座に５００万円ある！」とかなら、
早く降りるかもしれません。
結局はお金が信用になるので…。

だけど審査が通るかどうかって、状況によって
結構変わってくるんですよ。

最初は私も「M-1ビザで認可される滞在期間は1年程度」と
言われていたのに、結果的に5年間認められました。

Q.その後アーティストビザ(注2)を取られたのですか？
NYで活動していた時は実はずっとM-1ビザのままでした。

仕事で実績が出来て、弁護士に依頼、書類も通って、
あと少しでアーティストビザが取れる…という時に、
急にNYにいることに違和感を覚えたんです。

「日本でチャレンジした方がいい」と直感的に思いました。

それで、既に弁護士にお金は全部払っていたけど、
決意して２か月程で帰ってきちゃいました。

Q.行動が早いですね！でも、活動の拠点もNYだし、
ビザも取れそうだったしと、かなり勿体ないような…。
直感に従って正解、という事が多いので。
来る時は自分で決めたから、帰る時も自分で決めようと。
だから日本に戻ってきて良かったです。

もちろん今もNYは大好きな場所です。
２年前にも撮影の依頼で行ってきたんですが、
とても充実して良い仕事になりました。

Q.NYでの活動について教えてください。
NYでは３軒のサロン勤務経験、そして
フリーランスのネイルアーティストとしてファッション誌や
コマーシャル、テレビや映画の撮影に携わりました。

最初にバイトしたのはブルックリンにある、ベトナム系サロンでした。
とにかくスピード勝負でマニキュア８ドル、チップが１ドルというところ。
従業員もメキシコ系のお姉さんにマレーシア系のお兄さん、と
人種、性別、年齢もバラバラ。
最初はかなり圧倒されましたね。

アジア系のサロンて、大抵は控室に大きな炊飯器があって
従業員は中華のデリで買った炒め物なんかをおかずに、
自由にそのご飯を食べていいんですよ。
だけど私はお金がなく、ご飯にお塩だけで食べていたんです(笑）

そしたら、みんながおかずを分けてくれて。
「私みたいな新人はいじめられるんじゃないか？」という
初日の緊張と警戒心、不安や偏見が
それで一気にほぐれました。

その後2軒目のサロンにヘッドハントされて、
立ち上げに携わりました。

２軒目で働いていたある日、友達のおじいちゃんとデートしていたら、
イーストビレッジのあるサロンの前で
「ここは日本人のサロンじゃ」と教えられたんです。

その場で「ちょっと名刺渡してくる！」って店内にカツカツと
入っていって名刺を渡して…
後日連絡を頂き、その3軒目のサロンで働くことになりました。

Q.もの凄いバイタリティーですね！
当時は既に撮影の仕事も始めていたのですが、
ある時サロンの勤務と撮影日が重なってしまいました。

それで撮影を優先したことから上司との関係がギクシャクして、
結局サロンを辞めることになってしまいまして…。

その連絡を受けたのが撮影中だったので、
周りは皆私に気を使って
「So sorry to hear that（お気の毒に）」と…。

撮影翌日に予定していたジャマイカ旅行に行ったのですが、
殆ど楽しめませんでした。
明るく「YAH　MAN」なんて言われても、
こっちは「お仕事、どうしよう…（溜息）」って。

だけど、結局この事が完全なフリーランスの道へ進む転機になりました。
以来、撮影と並行して、平日はミッドタウンの自宅でプライベートサロン、
週末はボンドストリート（注3）にあるブティックの
ショーウィンドーで浴衣を着てネイルをしていました。

Qかなりの波瀾万丈ですが、その度に活路を開いて
ステップアップしていかれたのですね。
結果的にはそうなりましたが、その時その時は必死でしたね。
「どうしよう！」って。

でも何かトラブルがある度に
「辛いけど、このネイルサロンが世界で一つという訳じゃない」、
「このフォトグラファーは意地悪だけど、
この人１人だけがフォトグラファーという訳じゃない」と
自分の中で着地点を見つけて、打開してきた感じです。

次回に続きます。

注1）M-1ビザ：　職業訓練学校生ビザ。
ダンサー、美容、パイロットなど職業習得学校に行く場合に発行されるビザ。

注2）アーティストビザ（O-1Bビザ）：　芸術/映画/テレビ業界分野の職業向けビザ。
雑誌やテレビでの活躍など、かなり実績がないと中々認められない。

注3）ボンドストリート：NYマンハッタンの高級ショッピング街。
ハイエンドな香水ブティックBond No9は、本店住所のボンドストリート9番地が店名の由来。