の続き
2021年12月
ようやっと私はCT検査を受けた。
受けたのは造影CT。
造影剤の注射もイヤだったけれど、CTを撮ると決めた時点で、毒食らわば皿までもの精神で堪えた。
とはいえ、PET-CTだったらゴネたかもしれん。
そのへんは恣意的です。私の。
検査結果が出ると、主治医は改めて、今は【パワーのある治療法】が必要な状況だと言った。
【パワーのある治療法】とは、つまりは標準治療のことだ。
自然療法は体への負担が少ないのと同時に、腫瘍への攻撃力も小さい。
標準治療は、腫瘍を一気に取り除ける/叩ける代わりに、体への負担が大きい。
自然療法で治したいという私の意志は尊重するけれど、
現在は、腫瘍の増幅力が自然療法の働きかけを上回る状態になっている。
まずは大きな力でがんの進行を止めることが必要だ、と。
そう。
これが、【早期ガン】と【進行ガン】の違いなんですね。
ガンの進行は倍々ゲームだから(ゲームじゃないけど)、
いったん進行が始まると、増幅力が強く、あっという間に大きくなっていく。
私はがん治療というのは、がんを小さくし、消すものだと漠然と考えていたけど、
私の場合は、その前にまず進行を止めるという過程が必要だったことを初めて理解した。
そこで主治医から、放射線治療についてのセカンドオピニオンを受けてみないかと提案された。
実際に治療を受けるかどうかは別にして、放射線治療というものについて話を聞くのはどうか、と。
正直、この時はまだ標準治療に抵抗はあって、
ほんとに「まあ、話聞くだけ聞いとくかー」という気持ちだった。
でも「絶対に標準治療はやらない」という頑なさは、なくなっていた。
自分の体感としてあった不調と、CTの結果で見た実際の腫瘍の様子が結びついて、
思っていたより、自分のおかれている状況が切迫してることを自覚したから。
ちなみに、放射線治療は、
機器だけでなく、技師の腕によっても大きく左右されるそうだ。
主治医のたとえ話によると、
「フライパンは誰にでも使えるけれど、
普通の主婦が作った卵焼きと、プロのシェフが作った卵焼きは、出来上がりが違うというイメージ」
なのだとか。
だから、放射線治療を実施している所はたくさんあるけど、
「誰がやっているのか」がとても重要だそうだ。
そういうわけで、
主治医が信頼しているという放射線科医・S医師のいるD病院に紹介状を書いてもらった。
治療方針の変遷⑦新たな刺客? へ続く