最近になって、少しずつ自分のがんのことを人に話すようになってきた。

 

 

親しい人たちには、早いうちから

「乳がんができてて、今療養中なんだよね」って

近況報告の一環で話してきた。

 

私のがんに対するスタンスを受け止めてくれそうな人を選んではいたけれど。

 

 

それほど付き合いがない人や初対面の人には、基本的には話さなかったのだけど、

特に隠すことでもないかと思い始めたので、

自己紹介とか、近況報告する流れで今後は話すこともあろうかと思ってる。

 

 

人に話そうという気にならなかった理由は大きく二つあって、

 

一つは、【がん】というのは重い話題だと思っていたから、

相手に、そんな話を聞かされても困る、と思われるのじゃないか、と不安だったから。

 

でもそれは何より、私のがんに対する姿勢が弱腰だったのが不安の原因で、

まずは私がしっかりがんと向き合っていれば、

私の不安や嘆きを相手にぶつけることはなくなるから、

「重さ」は軽減するだろうと思った。

 

 
と、思っていたんだけど、

もう一つの理由があって、

実はこっちの理由のほうがずっと引っかかっていた。

 

 

確定診断後のわりと早い段階で、一番の親友に話した。

彼女は冷静に受け止めてくれたように見えたんだけど、何かスイッチが入ったらしく、

 

後日、病気とは全然関係ない内容で何回かやりとりをしたのだけど、

必ず彼女のメッセージには、

「そんな風に前向きに生きてる妙子はすごいよ!」

「小さなことにも幸せを感じてるって素敵だね!」

「一日一日、大切に生きていこうね!」

というような、【生】に対する激励の言葉がくっついてくるようになった。

 

 

いやいやいや。

私ただセールで服を買っただけなんですけども…

今年のお花見状況を伺っただけなんですけども…

 

 

うーん…ごめん、重い…

 

 

わかる、わかるよ、

彼女が私をめちゃくちゃ心配して励まそうとしてくれているのは。

 

でも違うの、私そういうテンションじゃないの。

そういう励まし方をされると、

 


「懸命に生きようね!もうすぐ死んじゃうだろうから

 


って、言われてる気がしてしまうのよ。

 


 

わかってる、わかってるよ、

彼女はそんなこと意識してないし、まるっと善意で言ってくれてるのは。

 


でも、彼女の中に【がん】があるのも事実だと思うの。

 

 


いや私、がんではそんなすぐ死なないですよ?

 

 


そりゃ人間、いつ何で死ぬかわからんし、

日々の些細な幸せを受け入れながら生きていくのは素晴らしいですよ。

 


でも「がんだから、早々に死んじゃうから」という前提で接してこないでほしいの。

 


 

だって私、がんでは死なないもん。

 


 

レイキ関係の友人達に話したときは、

その後も特に変わらず【見守りモード】で接してくれるのがとても心地よくて、

まさか、常に私の一番の理解者だった親友がこんなことになるとは予想しておらず、

かなり面食らってしまったのでした。

 

私が彼女を理解しきれてなかったということでもあるので、そこはごめんなのです。

 


彼女には、心配してくれるのは有り難いけど、頼むから普通にしてくれと伝えたら、

やはり彼女も、あえての激励だったようで、すぐにやめてくれた。

そこは長年の付き合いならではの呼吸かな。

 

 

 


ぶっちゃけ私、ショックだったんだよね。

自分の予想しない反応をされたのが。



親友でさえ、予想しない反応をしてきたのだから、

もっと関係性の浅い人に話したら、どんな反応をされるかわからん、それがストレスになりそう、と思って人に話す気になれなくなった。

 

 


でもさ、相手の反応に、自分が何かショックを受けるのって、

相手に何かを求めていたからだよね。

 

私が親友に対して「冷静に受け止めて普通に接してくれる」ことを望んでいたように。

 

 

私の勝手だな。

 

 

 

と、まあこのように、

こちらがどういうスタンスで伝えても、

相手の受け取り方はコントロールできないわけです。

 

ならば、できることは、相手がどんな反応をしようと、

自分が話すと決めたら話す、これしかないのだろうね。

 

 

そんなわけで、相手がどんな反応でも受け取れる覚悟ができたので、

がんのことを人に話してもいいと思えるようになったのでした。

 

 

 

治療方針について、家族で揉めに揉めて絶縁騒ぎにまでなるのは、また別のお話。

 → 治療方針と家族①姉に相談したとき