ベッドメイキングをしようとしていて何かのひょうしに滑った。

そしてお馴染みの足をやってしまった。

膝かな?足首かな?おそるおそる起き上がってみるとどっちでもなかった。

足先をねん挫したようだ。

シップを貼り、痛み止めを飲んだ。

医者に行くべきか悩んだがこのまま自力で治そうと思った。

今日で五日目、腫れは引いてはきたが履物を履くと痛い。

もしかして骨折かもとも思いながら、このままでいる。

 

しかし、外出は無理。

車でどこかへ行っても車の中でじっとしている。

年を取るといつ何事が起きるかわからないなってつくづく思う。

 

昔むかし、現役のころ美術史を教えていた。しかし勉強不足で教科書通りの授業しかできなかった。でも生徒の中には博士ちゃんが必ず居るんだね。私より何倍もの知識を持った生意気な生徒がいた。

いつもやられっぱなし。厭な奴だと思いながら仕方がないと思っていた。他にの時刻表オタクの子がいた。時刻表を持っていないと暴れると言うツワモノだった。

なぜだか私を入れてその三人で奈良に行くことになった。時刻表オタクがガイドになっていろんなお寺を見て回った。寒い日だったような気がする。すごく疲れた。日曜日に家庭を犠牲にしてこんなところに来ている私は何?と思いながら歩いた。

もうずっとずっと何十年も昔の事。すっかり忘れていた。

それがいろいろあってその博士ちゃんから手紙が来ることになった。

私の影響で柿本人麻呂の追っかけをしてるという噂。

そんなわけないやろ。私から見たら生意気な博士ちゃん。といっても

五十五歳くらいにはなっているはずだ。

どんな手紙をくれるかな?